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バタフライ・・・29

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『ごめん、君の気持ちが優先だった・・』

そう言ってくれた彼。
ふわって後ろから抱きしめられた時わかった。
私は彼が好きなんだ。
最初から好きだったのかもしれない。
シン。
イ・シン。
名前を呟くだけで体中が熱くなる。







「・・い。おい、つ・・・・」
「?」

「おいっ!シカトかよっ!」
「た、鷹さん!」

私の目の前に仏頂面したホストの≪鷹≫が腕を組んで、ピアノの椅子に座る私を見下ろしていた。はっと我に帰る私。今は仕事中だったのだ。つい昨夜の事を思い出してぼーっと考え事をしてしまった私。

「客がブラームスを弾けって言っている。」
「あ、は、はい。ブラームスだったら何でもいいのですか?」

「ああ・・早くしろよ。」
「はい。」

慌てふためいてバックの中から楽譜を取り出す私。≪鷹≫さんはそんな私の様子をじっと見ながら顔を寄せてきて耳元に低い声で囁いた。

「月・・」
「はい。」

「・・・しばらく此処が痛かった。」
「あ、、、、」

頬を指差す鷹さん。
この間、異常なまでに接近された私は思い切り彼の顔を叩いてしまったのだった。でも、客に私が女だってこと、まだ彼は暴露していない。

「ちょっと話がある。仕事が終わってもすぐ帰るなよ、いいな!」
「・・・・」

≪鷹≫さんの話って何だろう。また同じような目には逢いたくない。今夜は用事があって少し遅れてくると言ったシン君の言葉を思い出した私は、ケファおば様を探した。視界の端におば様がいる。おば様がバタフライにいる以上は無茶な事はしないはず・・・・
少し安堵した私は、ピアノを弾き始めた。
週明けのお客様はあまり多くない。いつもどおり早く上がった私は、楽譜を整えてバックに入れると、支配人室に続く廊下に急いで出た。

「月。」
「た、鷹さん!」

「言っただろ?すぐに帰るなって。」
「・・・・」

「お前の名前はなんて言うんだ?」
「え?あ、あの・・・」

急に≪鷹≫さんは体を寄せてきて、私の顎に手を掛ける。逃げ場を失った私はまるで蛇に睨まれたカエルのように身動きできなくなっていた。

「し、支配人が来るわ!」
「しばらく来ないさ。今、上客の相手をしているからな。少しくらい俺の話を聞いてくれたっていいだろう?この間みたいにつれなくしないでくれよ。」

「・・・つれなくなんて、私、鷹さんのことなんとも思っていませんから!叩いた事だって悪いとは思っていませんから!」
「ぷっ・・あはははは!剥きになるところがまた堪らないな。なぁ、付き合えよ。」

「お、お、お、お断りしますっ!」

ギュッと目を瞑って近付く≪鷹≫さんの顔から逃げようと顔を背けた時だった。

「何を…してる?」

シン君ともう一人の男性が私の前の≪鷹≫を見つめている。急な二人の男の登場に≪鷹≫さんは私から慌てて離れると、スーツの前見ごろをポンポンと叩いた。

「何もしてないさ。よう、蝉、久しぶりだな。今日からか?無事単位やらをとったのか?」

≪鷹≫さんはシン君の後ろで驚いたように私を見つめる≪蝉≫と呼んだ男性の肩を叩いた。

「ああ、鷹さん。今日からまた戻ります。バタフライのみんなには迷惑を掛けました。支配人はどこにいますか?」
「あっちだ。挨拶して来い。」

≪蝉≫という男性がホールに消えて、その場に残った≪鷹≫さんとシン君と私。気まずい雰囲気が流れたけれど、その雰囲気を破ったのはシン君だった。

「鷹さん。」
「なんだ?」

「もう月にはちょっかい出さないでください。」
「なんだと?」

「月は俺のものです。」
「はぁ?!龍、お前いつからそっちの気になったんだ?」

シン君は、ついっと私の隣に立つと私の腰に手を回し、ニヤッと≪鷹≫さんに笑いかける。

「全て知っている筈ですよね、鷹さん。だけど月にはもう関わらないで欲しい。もちろん仕事が終わってからも、です。」
「お前達・・・」

「そういう事です!」

苦味つぶした顔をして≪鷹≫さんはシン君を睨んでいる。私はハラハラしながら二人の攻防を見守るしかない。

「バラす・・・ぞ。」
「え?」

「月が女だってこと、客にもバラしてやるぞ!」
「どうぞ。」

「龍、いいのか?支配人だって困るだろう?」

凄みを増した≪鷹≫さんの顔に私は思わずシン君の手をギュッと握りしめた。だけど、シン君は≪鷹≫さんの脅しにひるむことなく、更に私を引き寄せた。

「支配人には了解をもらっている。」
「なんだって?」

「友達が復帰した時点で、俺とバタフライとの契約は切れた。月は俺と一緒に暮らす。」

シン君の思わぬ発言に、私は心臓が飛び出しそうになるほど驚いた。


シ、シン君と一緒に暮らす?
一緒に?
いっしょ・・・



う、嘘っ!?




「龍・・お、お前!?」
「鷹さん、少しの間でしたが、ご指導ありがとうございました。今後は友達を宜しくお願いします。行こう・・・月。」

シン君にグイッと腕を掴まれて、上へと引っ張られる私。何がなんだかわからなくて、シン君に従うしかなかった。











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画像はふわふわ。りさま
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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