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素直になれたら・・・46

「それではこれにて終・・・」
「はい!内官様。一つだけ宜しいでしょうか?ケーブルテレビKRTのガンウと申します。」

キム内官が怪訝そうな顔つきでコン内官の顔を見つめた。今回の記者会見はあらかじめ決められたテレビ局の質問だけを許可する・・・ということになっていたためだ。ガンウのように突発的に質問することは皇室に対して不敬であるとしてタブー視されている。

「も、申し訳ありませんが、お時間が・・・・」
「殿下!全国民が知りたい事、それは何でございましょう!」

内官の言葉を無視したガンウの態度に一斉にSPが動く。
各テレビ局記者達の間には緊張が走った。
ここにいる誰もが知りたい事・・・・それを口に出しては言えないもどかしさが記者達にはあったからだ。今回の記者会見は皇室の方々のプライベートには一切触れてはいけないと緘口令が引かれていた。

国民の誰もが知りたい事・・・・

カメラを持つ両腕をSPに掴まれて、立たせられるガンウ。騒然とした中でシンは静かに立ちあがった。そして一歩一歩と記者達の方へ近づいて行く。そんな皇太子シンの様子に大広間は水を打ったように静まり返った。

「ケーブルテレビKRTのガンウさんと言いましたね。」

シンはSP達に彼を離すように目配せし、更に記者団に近づいた。女性記者達はまじかに迫る黒龍袍(フンニョンポ)を纏ったシンに色めき立ち頬を赤く染める。我が国の未来を背負った皇太子。その声音、その立ち居振る舞いは長い歴史の中で培われたもの、何人にも侵されぬ気高さがある。

「殿下っ!どうぞご無礼をお許しください。ですが・・・・ですが・・・・我々は知りたいのです!」

ガンウは手に持ったハンディカメラを構えた。

「殿下にはお好きな方がいらっしゃるのでしょうか!?ベルギー皇太子ご夫妻をお迎えにいらっしゃった空港には妃候補なる女性がいたと聞き及んでいます。その方なのですか?それとも・・・・」

「無礼であるっ!言葉を慎みなさい!」

慌てたコン内官は、ガンウの言葉を遮った。シンはしばらくガンウの顔を穴があくほど見つめていたが、フッとその表情を崩すと静かに微笑んだ。カメラマン達はそんなシンの表情を見逃す手はないと激しくフラッシュを焚いてシャッターを切る。テレビカメラがシンの顔を捉え始めた。

「コン内官、許可しよう。私は答えねばならない。」
「殿下・・・」

コン内官は、思わず俯いた。












「ガンウさん、そうですね。国民の皆さんには私のプライベートの事でだいぶご心配をおかけしたようです。」
「殿下・・・」

「離婚した皇太子にこの国の未来はたくせるのか・・・皇室を存続させることが出来るのか・・・」
「・・・」

「6年前確かに私達は離婚致しました。当時は皆さんに何の詳しい説明もなく唐突に離婚という言葉を口にした私達に、国民の皆さんは怒り失望した事でしょう。まだ子供だった私達に離婚の理由を述べよと言われても当時それは無理な事でした。」

ガンウは構えたハンディカメラを力なく下ろすと椅子にドサッと腰かけた。

「この6年間と言う時は、私にとって胸が潰れるような時でもあり、新たに出発する為には必要不可欠な時でもあったのです。」
「・・・とは?」

「私はもうあの時の子供ではありません。自分が何を求めているのか、何をしたいのか、これからどうしていきたいのか、考えることが出来るのです・・・これからの皇室を背負っていく私には傍にいて支えてくれる妃が必要です。」

シンの口から『妃が必要』との言葉が出たと同時に記者団からは大きなざわめきが起こった。
ガンウは覚悟を決めた。
どうせ無くなってしまうケーブルテレビだ。
だったら心おきなく物事の確信をつく質問をしたい。
回りくどいのは駄目だ。

「殿下、本日この宮殿に、妃にしたい女性がいらしてますか?」

ガンウの質問に一斉に記者達が目の前に立つシンを見上げた。ガンウのまっすぐな質問にほんの少し笑うと、姿勢を正しシンはしっかりとした口調でガンウの質問に答えた。

「います。ここに、宮殿に。」

「どなたですかっ!?」
「今何処にいらっしゃるんですか?」
「お名前をお聞かせ下さい!」

今までシンとガンウのやり取りを固唾をのんで見守っていた記者達は一斉に立ちあがって矢継ぎ早に質問をし始めた。慌てたキム内官がシンと記者団の間に割って入る。

「本日の・・・・」

「本日のっ!?本日の何ですかっ!?」
「おいっ!殿下のお声が聞こえないぞっ!」
「黙るんだ!」
「静かにっ!」

互いに互いを制する記者団。
シンは、そんな記者達をゆっくり見渡すとその口を開いた。

「本日の晩餐会の終了間際にてその女性をエスコートするつもりです。それで宜しいでしょうか?勿論各テレビ局の方々には入場の制限がありますが、できるだけ皆さんの入場を許可するつもりです。」

記者達の間に驚きが拡がった。
晩餐会の様子は国営テレビにしかその放映権利はない。しかしながら自分たちにも入場できる可能性が拡がった。しかも皇太子妃になる女性をエスコートすると皇太子殿下はおっしゃっている。

「勿論その相手は、王族会の承認を得たお方なのでしょうね、殿下。」

もっとも王族会に近いとされているMMCの記者がシンに尋ねた。シンはそんな記者を横目でやり過ごすとガンウを見つめた。

「皇太子の婚姻に王族会の承認は仕来りとして必要です。ですが、仕来りは仕来りでしかない。私がこの先この皇室を背負っていくのに必要不可欠な妃を娶りたいと言っているのです。皇室の未来を考えれば王族会が反対するなどあり得ない事ではないですか?」

ガンウは大きく頷いた。

「殿下・・・それでは私にも殿下がお決めになった女性を一目見ることが出来ると言う訳ですね、今夜・・・・」
「そうです。どうぞ皆さん楽しみにしていてください。」

シンはクルッと踵を返すと黒龍袍(フンニョンポ)の裾を翻して元の席に戻っていった。その後ろ姿は、既に愛する人をその手に掴んでいるという自信に満ち溢れていたのだった。ガンウはそんなシンの後ろ姿を満足げに見つめた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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