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Story of Blue Empire 23 (最終話)

朝鮮王朝の太祖、李成桂が都に選んだこの地、漢城(ソウル)。
背に秀麗な北岳山を配し、その南面に整然と並んだ艶やかな景福宮は、風水に非常に優れた地にあった。そんな景福宮の一番の奥の殿閣後宮。王朝の血筋を守るべく創られた妃達の園。その中では王の愛を一身に受けようとする妃達の静かな戦いがあった。

「気がついたようだな?」
「王大妃・・様!?」
ジファは慌てて寝台から起きあがろうとした。

ここは一体どこなのか、
どうしてジンはここにいるのか、
そして・・・

「忠寧大君はそなたを選んだようだ。」
「・・忠・・寧大君・・・様?」
「おや、そなた知らないのか?そなたたちは知り合いだと思ったのだが・・」
王大妃は、ジファが起きあがるのを制止しながら隣に座るジンをチラッと見た。
「王大妃様、彼女は何も知りません・・・今から説明しようと思っていたところです。」
「おや、そうか。ああ、もしかして邪魔したのか?」
「いえ、そんなことは・・・」
「これをそなたに返す。これは忠寧大君のものであろう?ユン・シジュンがそなたに用意したものだったな?」
王大妃は、ジンの手元に短剣を置いた。
「私は嬉しいのだよ、忠寧大君。十年前の約束が守られることが。ユン・ジファ・・・そなた、幼き日、この私と出逢った事を覚えているか?・・・まぁ良い。のちほどゆっくりと話を聞くとしようか・・・」
「王大妃様、十年前の約束とは?」
「こちらの事だ、後で折をみて話そうぞ。年寄りはここは長居は無用のようだな。」
「そのような事は・・・」
「忠寧大君、そなたの顔に邪魔立てするなと書いておる、ほほほほほ!」
王大妃は尚宮に合図を送り、部屋にお茶の用意を置くと朗らかに笑いながら出て行った。部屋には再びジンとジファだけになった。
寝台の上に起きあがり目の前のジンを見つめるジファ。
「ジ・・・忠寧大君・・殿下・・・だったのでございます・・ね。」
「ジファ・・」
「も、申し訳ございません。なにひとつ知らず、非礼の数々お詫び申し上げます・・・乞食では・・乞食ではないとは思っておりました。まさか・・・まさか忠寧大君殿下だったなんて・・・」
ジファは慌てて姿勢をただし、頭を深く下げた。
「ジファ、すまない。これには訳があったのだ。」
「貴方が忠寧大君殿下であるならば・・・あの時・・・あの時殺したのは・・・」
「兄上・・だ。」
「!」
「兄弟で殺し合う・・・恐ろしいか?しかし、あの時は、兄上を倒さねばならなかったのだ。」
片手で口元を抑えたジファの瞳が大きく揺らめく。
「王世子の座を巡って血を分けた兄弟が殺し合う、そんな王宮に貴方は似つかわしくない…と思った。後宮に入ったとしても辛い事が多すぎる・・・貴方にはそんな辛い想いをさせたくない・・・・俺の妃なんてただ隣に居るだけの存在だから誰でもよかった・・・・まさか貴方が≪三≫に現れるとは思いもよらなかったのだ。伽耶琴の音に心を乱されたのは貴方の弾く琴だったからなのだな・・・・貴方がこの短剣で命を絶とうとした時、もう貴方を諦めることは出来ないと思った。貴方とともに人生を生き抜きたい、貴方を守って自分の心に正直に生きたいと・・・・・」
抑えた口元からジファの嗚咽が漏れだした。
「ジファ・・」
「・・・もし、もしつかまって・・しまっていたらどうしよう・・と思っておりました。ジンが・・・貴方が・・・誰であったとしても私の心は変わりようがありません。よかった・・・無事で・・・・よかった・・・」
どうしても触れることが出来なかったか細い身体が目の前にある。ジンはためらいがちにジファの身体を引き寄せるとその胸に静かに沈めた。ジファの涙は枯れることなく、ジンの胸をただただ濡らしていく。
「貴方に傍に居て欲しい。王世子となる俺を支えて欲しい。」
ジンの胸の中で頷いたジファ。それがすべての答えだった。






ユン家へ後宮からの詮議が伝わったのは其の日の夕方。使用人のヨンジャが大騒ぎして喜んだのは勿論であったが、忠寧大君自らが自分の娘ジファを選んだということを知らされ、ユン・シジュンの心は驚きと喜びで一杯であった。のちにあの乞食がジン自身であったとジファから知らされるのはだいぶ後になってからである。

ジファはそのまま別宮に移り、宮中儀式や教育を施された。その間、ジンは王世子の冊封を受けた。
「父上、ただいま中国皇帝より王世子としての裁可を受けました。」
「そうか、これから国造りに精進するように。私のよき協力者となってくれ。ご苦労であったな・・・・」
「はい。」
「王世子よ・・」
「はい?」
「そなた兄を粛清したこと、まだ気に病んでおるか?」
「・・・いえ、父上。」
「そうか。」
「私は、乞食でいる間、王世子にしか出来ない事があると知りました。」
「ほう・・・」
「そして、王世子だからこそ、得られる人生もあるのだと・・」
「なるほど、出来ない事とはなんだ?」
「今はまだ・・・」
「ふふん・・・お前の好きにやるといい。私はもうじき王位をお前に譲るつもりだ。妃となるユン・シジュンの娘、大事にするように。母上がだいぶご執心でな。」
「わかっております。」
ジンはにっこり笑うと父、太宗の正殿を後にした。

納采・納徴の儀を経て無事命使奉迎の儀を行ったその夜、寝殿で酒と食事を共にした二人は最後の同牢の儀を迎えていた。寝殿の外に畏まって並んだ大勢の尚宮達。ジンはジファを寝所へ導きながらチラリと尚宮達を見咎めると、一番前の年老いた尚宮に囁いた。
「そなたたちの務めも分かる。しかしながら王大妃様より見届けは無用との沙汰が出ている。」
「え?そ、そうでございますか?」
「王大妃様のご命令だ!席を外せ。」
「は、はい・・畏まりました!」
尚宮達の衣擦れの音が引いたあと、寝所には静寂が訪れた。

揺らめく蝋燭の灯り。
華やかな敷物が幾重にも敷かれてその上に延べられた絹の寝具。
枕元には兎を描いた屏風が立てられている。
ジンの手に引かれて寝所に踏み込んだジファは、両手を頬に当てて、座り込んでしまった。明らかに動揺しているのが分かってはいたが、ジンは座り込んだジファの後ろに回り込むと静かにクンモリに手を掛け、トグジを外し、髪飾り、カチェ、を外していった。三つ編みになっている髪を更に解きほぐしていく。
「王世子殿下・・・」
「ジンでいい。二人だけの時はそう呼んでくれないか?」
「よろしい・・のですか?」
「その方が俺は嬉しい・・・ジファお嬢さん。」
「お嬢さん・・・って・・・・」
自分の後ろでクスリと笑うジンにジファの緊張した心がほぐれてくる。解かれたジファの長い艶やかな髪をジンは掻きあげると背中から抱きしめて白いうなじに熱い口づけを這わせていった。コクコクと鳴る彼女の喉元を何度も往復したジンは、ジファの口元から微かな溜息が洩れたのを機に更にその唇を彼女の深い場所を求めて突き進めていく。互いの大礼服をその身から滑り落とし、露わになった躰を隙間なく埋め合った。
「俺は・・あの時・・こう・・・したかった・・・・」
「あ・・・・の・時?」
「雷の・・」
「ぁ、、、、、」
滑らかなジファの背に指を這わせ、丸い乳房を愛おしそうに舌先で弄る。彼女の躰すべてを自分の印で満たすべく、ジンは花のような彼女の唇を塞いでいった。長い長い優しい口づけの嵐の中で、ジファの意識は雷のあの日に飛んでいく。
ジンに触れたくて・・・でも触れることが出来なくて。
心が彼を求めてもどうしようもなかった。
逢いたくて逢いたくて・・・

「ジン・・・」

小さくつぶやくジファの唇がジンの肩口に触れた。死をも覚悟した≪三≫での詮議。この命、すべてを彼に捧げたかった。こんなにも愛してる彼に・・・
滑らかなジファの肌がしっとりとジンの躰に張り付き、温かな躰の奥の蕾はもう既に熟れている。
とめどもなく洩らされるジファの吐息が、彼女の秘められた場所をゆっくりと探し求めるジンの吐息と重なった。


愛してる、ジファ・・・・
百年、二百年・・・いや千年先もこの想いはお前だけのものだ・・




















『ねぇ・・・』
『なんだよ、今手が放せない。』
『ちぇっ!イジワル!』
『ちぇ?・・・今、ちぇって言ったか?妃宮。』
『ええ!言ったわよ!』
『聞き捨てならない言葉だ。世が世なら手討ちモノだぞ!』
『へ?手討ち・・・嘘でしょう・・あはは。』
『はぁ・・・これだからいろいろとマスコミに書かれるんだよ。』



『ねぇ・・・』
『なんだよ、早く言え。』
『私達ってこうして夫婦になったのって運命だったのかな?』
『え?』
『だって、身分だって違うし、私はもともと王族ではないわ。』
『・・・・』
『いつも不思議に思うの。』





ずっと・・・ずっとお前を愛してきた・・から・・さ・





『え?何か言った?』
『いや・・・』





ずっとこれからもお前を愛しつづける・・・千年の時をも超える愛なのだから。








<完>





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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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