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WAVE~遥か遠い日々・・・5


交差点の信号が黄色から赤に変わりつつある。
いつものミンであったなら、そこで徐行をするはずだった。しかし、アクセルを強く踏み込んだままミンは通り抜けた。
車があまり通らない田舎道の交差点。大きなカーブを曲がると目の前に蒼い海が開けた。
エアコンを止めて、パワーウインドウのスイッチを押し運転席と助手席の窓を開けた。心地よい潮風が車の中のよどんだ空気を一掃してくれる。ハンドルを握り締めながら、髪が風によって乱れるのも構わず更にスピードを上げた。


夫に愛人がいた・・・・


ハンドルの握る手が真夏の暑さとは正反対に氷のように冷たくなっていく。崖下の細いくねくねとした私道を走り抜けると青い大きな屋根の家が見える。彼女は、だいぶ前にある別荘への門の所で急ブレーキを掛けた。


整理するのよ・・・・


たしかに愛人がいたかどうか、なんてヒョンを問い詰める権利は自分にもなかった。
あの頃・・・・・
そう子供たちがまだ小さい頃、自分は過ちを犯している。
あまりにも忙しいヒョン。家に帰ってくるのは週に何度だったであろう・・・・寂しかった、辛かった、誰かに慰めて欲しかった。
大学時代の同窓会で再会した彼。学生時代は少なからず彼に好意を持っていた。ただ、想いを伝える前に卒業してしまった。それからすぐに親の勧めでヒョンと結婚。
互いに伴侶を持っていたことが逆に安心感へと繋がり、ズルズルと何カ月間か彼との逢瀬を楽しんでしまった。彼が日本へ長期出張が決まった時、別れた。それからは全くと言っていいほど逢っていないし、連絡も取っていない。


まさか・・・
まさか、夫のヒョンが私と同じように誰かと・・・
愛していたのだろうか。
それとも、単なる遊びだったのであろうか。

わからない。
だけど、

だけど、チェギョンが血を分けた娘?
ヒョンとヒジンとかいう女との娘?

嘘!
嘘だわ。

私に復讐?
どうしてヒョンに復讐されなくちゃ・・・

あっ!!

もしかして・・・
もしかしてヒョンは知ってる!
私と彼との事を・・・・・



ハンドルを掴んで、頭を両腕の間に沈めた。さっき見た喫茶店での光景が脳裏に焼き付いて離れない。
自分の後ろに座っていたのは確かに自分の夫、ヒョン。
ヒジンとかいう女の形見の品を夫は受け取った。
ただ、それをチェギョンに渡すのはきっとずっと先の事。
チェギョンは知らない。
私達の養女だと言う事を。



再びミンはアクセルを踏み込むとガレージに向かって車を走らせた。
車のエンジンを切ってテラスからリビングに入った。ソファにはチェギョンだけが俯いて座っている。


夫と愛人の娘・・・


「あっ!ママっ!おかえりなさいっ!」
「た、ただいま・・・・・チェギョン。」


ソファから立ち上がったチェギョンは、目に一杯涙を溜めてミンにしがみついて来た。
心の底から自分の娘だと言い聞かせ、両親は既に亡くなってしまって天涯孤独の可哀そうな赤ん坊だと心を砕くようにして育ててきた。
抱きついて来たチェギョンの髪からは甘いシャンプーの香りが漂い、ミンは思わず抱きしめようとしてその手を止めた。
やんわりと自分の体にしがみつくチェギョンの体を引き剥がしていく。

「ママ?」

いつもだったら強く抱きしめてくれる母。軽く拒絶される形になったチェギョンは慌てた。

「ママ・・・あのね、私・・」
「チェギョン、悪いけどママ疲れているのよ。少し遠出しすぎたわ。お食事はデリバリーを頼んだから、シンやユル達と済ませてね。」
「う、うん・・・・・」

チェギョンに抱きつかれた腕をかるく払うとミンは自分の寝室へと消えて行った。


パタン・・・・・


後ろ手で寝室のドアを閉めたミンは、そのまま疲れ切ったようにベットに身を投げ出した。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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