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My Lover is only one・・・(My Lady in Seoulより★チェギョン編)





『イさん、ちょっと来てくれないっ!もう私、面倒見きれないわっ!』
「誰?・・・だ。」
『・・・・シン、僕だ。ナヨンと替った。今、大学のゼミの懇親会をやっているんだが、どうやら今日は一人では帰れない状態だ。』
「ひとりで帰れないって?また飲ませたのかユル!」
『そう怒るなよ。彼女から飲むって言ったんだ。』
「…だからって飲ませることないだろっ!あそこか?」
『ああ・・例のワインハウスだ・・・・・』
「・・・・・・」
『・・・迎えに来てくれるよな・・・・シン?シン?・・・・・なんだ、もう切れてるよ。』





生活が何とか成り立って、私は漸く大学に復学することになった。
朝に晩に休日に、この2年間働き続けた。
父は2年前、経営していた無国籍料理店のチェーン店化に失敗し、多額の借金をつくって母と共に家を出た。今は何処にいるのか解らないが、懸命に働いて少しでも迷惑を掛けた人達にお金を返すと言っていた。
父を知る人達からは、イ・グローバルグループの餌食になったんだって聞かされていた。確かに父が手塩に掛けて育てたソウルにある本店と3つの支店は既にチェーン店化を勧めたイ・グループのものとなり、次々と韓国料理店を出店させたみたいだ。
イ・グループがタダ同然にシン家の家と店と土地を手に入れたところをみるとまんざら嘘ではないらしい。
だけど、パパは、自分のせいだ。自分の経営力が足りなかったんだ、誰も恨んだりしてはいけないと私に言い含めてソウルを去って行った。そんなパパを私は誇りに思っていたし、なにも後ろめたい事はないんだから胸を張って生き抜いていこうと決心した。



今日は勤労学生という事を忘れて久しぶりに少しだけハメを外したかった。シン君は私に日ごろから自分の前以外では絶対お酒は飲むなって言っていたけれど・・・・



そんなに驚くほど酒癖は悪くないわよ!シン君たら心配性なんだから・・・・



以前酔ってシン君とダンスまで踊った例のワインハウスの扉を開ける。ナヨンがボックス席から少しだけ顔をのぞかせ、手を振って私を呼んだ。


「良く来たわね、チェギョン。あなた、お酒は飲めなかったんじゃ?」
「ナヨン、少しは飲むわよ。この間の事で自分の限界はわかったわ。たまにはいいでしょ?」


私はグラスに注がれる薄い琥珀色の白ワインをじっと見つめると一気に飲み干した。


「ちょ・・・・ちょっと、焼酎とは違うでしょ。少しずつ口に含んで楽しみながら飲まなくちゃ駄目じゃない。アルコール度数だって高いのよ。口当たりはいいけれど・・・・・」
「あっ!そうだった。」


空になったグラスをテーブルに置くと私は目の前でゆっくりワインを空けながら楽しそうにおしゃべりするユルさんとナヨンに視線を移した。二人はとってもお似合いだ。ナヨンからユルさんが何処かの御曹司かもしれないって話を聞いた時、やっぱりって思った。お嬢様のナヨンと御曹司のユルさん。絵にかいたような二人よね。

かたや路頭に迷い損ねた私。
家はパパの古くからの友人の店長さんが保証人になってくれてホームレスになるのだけは避けられた。おまけに運送会社で働かせてもらっている。私は他人に助けられて今を生きている。何処かでこの恩は返していきたい。


空っぽになったワイングラス。まだ、大丈夫・・・・酔っていない。


「ね、ナヨン。今度は赤がいいわ・・・大丈夫よ。ゆっくり飲むから。少しは大学生の気分を味わわせてね。」
「い、いいけど・・・・・」


私のグラスを持つ手が上がるたびナヨンは心配そうに私を見つめていた。


大丈夫・・・・



大丈・・・・・・・・





「チェギョンっ!!!」





ナヨンの声が遙か遠くで木霊した。















「チェギョン・・・大丈夫か?立てるか?」


自分の頬をペチペチと誰かが叩いている。


うるさいなぁ・・・・いい気持ちで寝てるのに・・・・


背中と膝下に何かが差しこまれて私の体は宙に浮いた。耳元で優しく囁く誰かの声がして指先で重い瞼を捲り上げてみようとしたがどうもその指先も言う事を聞いてくれない。
一旦何処かの場所に降ろされて今度は大きな何かに乗せられようとしている。体に力が入らなくてズルズルと何度も落ちてしまう。


「イさん、お願いね。全くチェギョンたら自覚がないんだからっ!ほら、しっかり!」
「シン、悪いな。だけど僕が送って行くよりもお前が連れて行った方がいいだろ?」
「当り前だ。ユル、迷惑掛けたな・・・・」


私の周りで、わんわんと皆の声が響いていて煩くて思いっきり大声を出してしまった。


「らりいっへいるほよ!ふるへい!」

「この、酔っ払い!黙ってろっ!」


聞きなれた声に一喝されて、はっと私は頭を上げた。


「シン・・・・らぁ!私のこと好きらってりってるれた、シンらぁ・・・!シン、シン、シン!」


訳もなく楽しくなってしまい、私は魅力的なシン君の背中に吸い寄せられるようにおぶさると、大はしゃぎで彼の頭をバンバン殴り、後ろに回した腕でしっかり私の体を支えている彼の両腕も盛んに叩いてしまった。


「はぁ・・・・チェギョン。いい加減にしてくれよ。お前飲むと性格変わるんだよな。酔い潰れて寝ちゃったりもするし・・・・ま、そう言うところも可愛いけれど・・・・ほら、行くぞ。」


そんなシン君の独り言が酔っぱらった私の耳に入るハズもなく、やたらにキャーキャー騒いて叩きまくる私を今回はバスではなくて、タクシーに乗せた。きっとバスなんかに乗せたら絶対他の人に迷惑をかけるってシン君は思ったらしい。
タクシーの後部座席は程良くスプリングが効いていて、まるでゆりかごに乗せられたみたいにいい気持ちになり、僅かに残っていた意識は5分も立たないうちに深い眠りの底に沈みこんだ。


「お客さん、恋人かい?」
「・・ええ。」
「今のうちが花だよ。そうして一緒にいるだけで幸せっていうのはさ。社会に出るといろんな不条理があるからなぁ・・・・」


タクシーの運転手の言葉にシン君は何も答えなかった。











「チェギョン・・・チェギョン・・・・降りるぞ!」
「う・・・・・・」

坂下の大通りで寝ぼけ眼の私をタクシーから降ろすと、シン君はふらつく私の前にしゃがみこんで再びその魅力的な背中を私に向けた。


「シン君の背中大好きだよぉ…」


正気と軽い狂気の境を彷徨っている私は、心に詰め込んだ言葉をいとも簡単に吐き出して、遠慮せずに彼の背中に体を預けた。


「はいはい、分かってるよ、チェギョン。だからもうすこし大人しく・・・・あれっ?なんだよ。寝ちゃったか・・・・まったくいい気なもんだ。」




ブラブラと脱力して揺れている私の両腕をみてシン君はブツブツ言いながらも坂を昇っていくの。


だけど、本当はね、シン君。


タクシーから降りて、シン君の背中に乗った瞬間、目がすっかり醒めたの。
とっても広い背中。
安心して頼れる背中。
こうやってこの坂を昇るのは2度目だけど、1度目は熱があって覚えてなかったから、今度はしっかりと覚えておきたい。


シン君、あのね。


私、最初はシン君の事、大嫌いだった。
意地悪ばかりするんだもん。女なんて面倒だ、煩わしいって言う顔してほんとに酷い男だったのよ。お隣さんになった時、もうシン君の顔も見たくなくて、引っ越しも考えたんだから。


なのに・・・・


なのに、今は・・・・・私にとってかけがえのない人になってる。
この大きな背中にいつまでも頼りたくて、触れていたくて・・・・・・


大好き、シン君。


私の事好きになってくれてありがとう。
私の事愛してくれてありがとう。



たったひとりの大切な・・・・・



私の・・・・




あなた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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