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破片・・・12

「ユル君、あのね。最近思うの。私の記憶の欠片を拾い集めても元のようになるのかしらって・・・・・」
「チェギョン・・・大丈夫だよ。きっと記憶は戻るから。」
「失くした記憶って楽しい記憶かしら、それとも辛い記憶かしら。もし、辛い記憶だったら想い出しても辛くなるだけよね。このままがいいのかもしれない。」

スケッチブックに向かいながらチェギョンは誰かの顔を描いていた。

「誰を描いているんだい?」
「うーん、誰っていう訳じゃないけれど、時々夢に現れる王子様がこんな顔だったかなぁ・・・・って。」

クスッと笑うチェギョンの手元にはシンによく似た顔が描かれていた。
ユルはそっと彼女のスケッチブックを閉じると彼女の肩をポンと叩いて明るく言った。

「チェギョン、明日はクリスマスイブだ。ケーキ、楽しみにしていいかな?」
「ええ、バッチリよ!」
「そうか、チェギョンのケーキなんて学校で作った時以来だよな。期待してるからね。それじゃ、僕はそろそろ帰る。」
「うん、じゃ、明日ね!」
「ああ・・・・」


ユルはチェギョンの部屋を出るとリビングにいるパク女史の元へ歩み寄った。
「パクさん、では明日の夕方、予定通りに決行しますので宜しくお願いします。」
「はい、大君殿下。荷物はそれとなくまとめておきますので・・・・。旅券の方も用意しました。あとは、明日チェギョン様に話されるだけです。きっとお喜びになるでしょう。ご両親に会いたがっていらっしゃいましたから。」
「ええ。チェギョンの両親を昌徳宮に迎えるよう命じておきました。久しぶりの再会ですからね。では、明日参ります。」
ユルはチェギョンの部屋の方をみて微笑むとホテルに戻っていった。




「コン内官、今からイギリスに向かう飛行機を手配してくれ!王室専用機を使うと目立つから民間機を使う。」
「で・・殿下いったいどういう事でございますか?もう本日は飛ぶ飛行機はないかと・・・」

「とにかく一刻も早くチェギョンに会いに行きたい!」
「殿下・・・・」

「コン内官、一生のお願いだ!!」
シンは頭をコン内官に向かって下げた。

「で・・・殿下!そのような事はおやめ下さい。」
こんなにも必死なシンは初めてであり、コン内官はもはや断れないと感じた。



「殿下、明日昼の便にファーストクラスの空きがあるそうです。現地時間で夕方には着くようです。正し、すぐお帰りにならなければいけませんが・・・・それで宜しいでしょうか?」
「宜しく頼む、コン内官。」
「パク女史に連絡いたしましょうか?殿下。」
「いや、連絡すれば警戒するだろう。私には会わせたくないみたいだからな・・・・・」
「殿下・・・・・」
「自分の目で確かめたい・・・・」
「承知いたしました。連絡は致しません。では、これにて・・・・」


シンにはそう言ったもののコン内官は困惑していた。
殿下がイギリスに行くことを陛下は御許しにはなるまい。
さて、どうしたものか。
・・・・皇太后様、そうだ。皇太后様にご相談してみよう。
コン内官は急いで慈慶殿に向った。



「皇太后様、コン内官がお見えです。」
呼び出しの尚宮の声に皇太后は筆を止めて顔を上げた。

「おや、コン内官、一人か?珍しい・・・・」
「皇太后様に折り入ってご相談があり、こうしてまかり越しました。」
「なんであろう。」
皇太后は居住まいを正すと真っ直ぐコン内官を見た。

「実は、殿下が急にイギリスに行くとおっしゃいまして・・・」
「イギリス?」
「はい、それで多分陛下はイギリスへの渡航はお許しにならないだろうと・・・・」
「成程。」
「皇太后様にお助けいただきたいのです。」
「そうか・・・・・・コン内官、もしシンがイギリスに行ったとしていつ戻れるのだ?」
「はい。皇太后様。明後日には戻る予定であります。」
「明後日?・・・・・チェギョン嬢の所へシンは行くのだな?」
「こ・・・皇太后様、どうしてそれを・・・・・・」
「そうか・・・・・解った。」
皇太后は大きく頷き立ち上がった。

「明日、シンは私に付き添って温陽の温泉に行くという事にしよう。それでどうじゃ?」
「は・・・はい、ありがとうございます、皇太后様。」







次の日、仁川空港には帽子を目深にかぶり革のジャンバーを着たシンの姿があった。
「殿下、くれぐれも殿下と気づかれぬようお願いいたします。」
「コン内官。貴方こそ、その話し方、バレていますよ。」
「は・・はい。」

シンはファーストクラスのシートに身を深く沈めた。


「今日は、クリスマスイブだったんだな。チェギョン、早く君に会いたい。」
シンはポケットの二つのリングを握り締めた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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