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綴愛・・・15

「殿下・・・各空港の搭乗者名簿を精査いたしましたが、あいにく・・・」
コン内官は言いづらそうにシンを見た。


「・・・なかったの・・か。チェギョンの名前・・・・・」


シンはコン内官に近づくと手元の資料の束を見つめた。
「国内の全ての空港を・・・・・・しかし・・・・もしかすると偽名にて出国したかもしれません。たとえパスポートがチェギョン様であっても搭乗者名簿の操作は宮の命令であればいかほどにもできるかと・・・・」
「くそっ!全ては父上の手中にあるということか!」
シンは両手で顔を覆うとソファに座り込んだ。
「殿下、本日の晩餐会、ヒョリン様とご一緒にお出でになるようにとの陛下の命令でございます。」

「・・・・ヒョリン・・」



コン内官はそっと東宮殿を出て行った。
もうこれ以上、シンの辛い姿を見ていられないという思いと、チェギョンを探し出せなかったという自責の念に駆られていた。
「陛下のなさることだ。手抜かりはあるまい。今後、殿下がどう行動を起こしてもあの陛下では殿下がさらにお辛くなる・・・・・」

シンは、そっとコン内官が東宮殿を出ていくのを見ていたが、何かが体の奥底から湧き上がってくるのを感じていた。
ユルにかなり言われたのもある・・・
父上が、もしチェギョンを国外に追放していたとしたら・・・・・これほどまでの宮の横暴があるだろうか。
このまま簡単に流されて・・・・・もし、そうせざるを得ないならば・・・・・・
よし。父上に・・・・・会おう。







「殿下!!お待ちください。只今陛下はご休憩中でどなたもお通しするな・・・」
「どけ!!」
傍に仕える尚宮の言葉を遮りシンは康寧殿の扉を勢い良く開けた。

「父上、お話があります。今日は是が非でも私の話を聞いてもらいます。」

内人たちの引き止めを振りきりシンは一番奥の寝室へと足を踏み入れた。
「シン!何用ですか。只今陛下はご休憩になられた所ですよ。控えなさい!!」
皇后が叫んだ。

「母上、どいてください。父上に用があるのです。」

「皇后・・・・よい。」

「陛下・・・」

皇帝は起き上がるとメガネをかけじっとシンを見つめた。
「ほう・・・・元気になったようだな。コン内官がだいぶ心配していたのだぞ。」
今回の件にまるで関係ないという風の皇帝にシンは苛立った。



「父上。」
「何用だ。皇太子。」
「チェギョンを何処に隠された。」
「・・・・・」
「国外に出しましたね。」
「・・・・・・」
「お答え下さい!父上。」

皇帝はガウンを羽織るとベットから降りてリビングのソファへ座った。
「皇后、悪いがゆず茶をこれへ・・・・」
「・・・・は、はい。」
皇后は席を立ち、リビングから出て行く。

皇帝は両手を組むと目を瞑った。
「あの娘は選択したのだ。」
「・・・選択?」
「あのまま別邸に残り、皇帝になれないお前を苦しめるか。それとも離れて皇帝になるお前を遠くから見つめるか。」
「父上・・・・それって・・・!」
シンは皇帝を見つめた。

この人は人の心を弄ぶ。
そんな選択肢を提示されたらチェギョンのことだ、身を引くに決まっているじゃないか。
そんな酷い事を・・・・よくも父上!!

「あの娘は後者を選んだ。お前の為に身を引いてくれた。なかなか素直な良い娘だ・・・・」
「・・・・・父上・・・・」

皇后が静かにゆず茶を運んできた。
皇帝はそっと一口飲むとシンを見た。
「本日の晩餐会、コン内官から聞いて知っているだろうが、ヒョリンと同伴するように。各国の要人達がすでに韓国入りしている。粗相のないよう接待せよ。」
シンの握った拳が震えだした。
皇后はそんなシンを見ていることが出来ず、そっと目を伏せた。

「父上!・・・漸くわかりました。父上は人ではない。ましてや私の父でもない。」
「・・・・なんだと?」

皇帝はメガネの縁をくいっとあげるとシンを睨んだ。
シンは自分を睨んだ皇帝をさらに睨み返した。

「いいでしょう。晩餐会はヒョリンと出席します。皇太子としての責任は果たします。要人達にも愛想よくご挨拶いたします。でもそこまでです。」
シンは皇帝の真正面に座ると言った。

「その後のインタビューではイ・シンとして意見を述べさせていただきます。」

「なにっ?!」
「ヒョリンとの婚姻は自分の希望ではなく、全ては宮の利益のための政略結婚だと。私には生涯を誓った人がいるのに陛下が無理やり引き離し、国外追放にした・・・と。」
「シン!・・・・・・ならばそのインタビューは取りやめにする!」
シンは薄ら笑いをすると皇帝をじっと見つめた。
「今後、私をインタビューする機会はいくらでもあります。そのたびに陛下は阻止なさるのですか?」
「・・・・・・・」

「シン・・・・もうそなた達の婚儀は明日に控えているのです。今更何を・・・・」
皇后が口をはさんだ。

「母上・・・あなたは一番知っているはずだ。なのに・・・どうして・・・・」
シンは悔しそうに皇后を見て言った。
「もう各国の招待客が入国したなかで宮の体裁も繕わなければならないでしょう。明日の婚姻の儀式は受け入れます。でも、それだけです。夫婦としての契は行ないませんし、書類上の婚姻手続きも致しません!」

「何だって?・・・・シン!、お前は私に国民を欺けというのか?」

「陛下。貴方が私を欺いた代償は払っていただきます。もし、この条件を飲んでいただけないのなら、明日の各国の賓客を呼んだ婚礼の儀で、私は何をやるかわかりません!それから・・・婚礼後はいっさい東宮に関しての口出しは無用です。」

「・・・・・・・」









その夜の晩餐会は粛々と行われ、ローブデコルテを纏ったヒョリンにその手を差し出し、シンはいつものような冷たい微笑を浮かべて彼女をエスコートした。

「とうとうシンも気づいたのね。最初からこうしていれば良かったのよ。あの女別邸をでていったんですって?ああ、すっきりしたわ。あの女を庇った時のシンの姿・・・本当にこれで終わりかと思ったけれど・・・・・・やっぱりシンは皇太子だわ。自分の責務がわかっている・・・・ね、チェ尚宮。お前もそう思うでしょ?これからは私に誠心誠意仕えなさい。」
グラスを持ちながらヒョリンは傍に控えているチェ尚宮をみて冷たく笑った。

「・・・・・・・・」

チェ尚宮はヒョリンとチェギョンを比べてはいけないと思いつつ、ついチェギョンを思ってしまった。



チェギョン様ならこのような横柄な態度はお取りにならない・・・・誰にもお優しく気遣いさえしてくださる・・・・・この方へこれからは仕えねばならぬのか・・・・・・




チェ尚宮はヒョリンに気づかれぬよう溜息をついた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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