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BLACK DOORより 『子供たち・・・その4』




「ではみなさん、わかりましたね、宿題は来週までですよ。」
担任の先生が言ったと同時に終業の鐘が鳴った。


「にいさま!」
「ユナ!」
「にいさまたちの学年もしゅくだい出たの?」
「ああ、ユナ達と同じだよ。全学年で取り組むんだって。」
「ふーん・・・・」
4年生と2年生になったジュノとユナは、宮の車の所まで急いで走って行った。


今度の週末は久しぶりにオーストリアからスハンおじちゃんが来ることになっている。
スハンおじちゃんて、とう様のハトコなんだ。
僕がまだ幼稚舎に通っていた頃、一度だけコンサートに韓国へ来たことあるけど、僕は良く憶えていない。
とう様に似ていて凄い人気のピアニストなんだって。
明日、そのコンサートが中央劇場で行われるんだ。
僕も行きたいけれど、まだ子供はダメだって、キム内官が言うの。


「あーあ、僕もスハンおじちゃんのコンサート行きたいなぁ・・・・」
「ユナもいきたいな。」
「ユナは違うだろ。休憩時間に出るケーキがお目当てだもんな。この間の子供コンサートだってケーキの話しかしなかったじゃないか。」
「えーっ!ちがうって!にいさまひど―い。」

車を運転しているパク護衛は思わずクスッと笑う。
お子様達の護衛は緊張するが、こんな可愛らしい話を聞けるのなら何度でも運転したい。




「うーーーん。」

「ジュノ、いったいさっきから何を唸っているんだ?」

「とう様!」
公務を終えてリビングに入ってきたシンはソファでノートを広げ難しそうに手を顎にやって足を組んだジュノを見た。
「とう様の真似をしてもいいアイデアは浮かばないと見える。」
シンは息子を優しい瞳で見つめた。
「とう様、全学年共通の宿題が出たんです。」
「ほう・・・どんな宿題だ?」
「自分の心の糧になるものを見つけてきなさいって・・・・」

「心の糧・・・・」

シンは腕を組んだ。
「とう様の心の糧ってなんですか?」
真剣な顔でジュノはシンを見上げた。
「そうだな、ジュノ。とう様の書斎にはたくさんの本があるだろう?」
「はい。」
「その本全部が今のとう様の心の糧となっている。本を読むことは大事だ。その時代その時代の出来事や、考え方が本の中に溢れている。それを吸収する事で自分の心の成長が助けられていると思っている。ジュノには難しいかな?」
「うーん。」

「何二人で難しい話をしてるのよ!」

「かあ様!」「チェギョン。」
「心の糧ですって?ジュノほら今度できた宮殿の脇のケーキ屋さん。あそこのロールケーキがおいしいのよ!かあ様の心の糧ね。そうで・・・」
シンにジロリと睨まれチェギョンは話もそこそこに退散する。

「ジュノ、明日のスハンのコンサート行きたいか?」
「えっ?行っていいんですか?子供はダメって・・・・」
「今度王室専用のボックスを修理した。長いこと使ってなかったので少々時間がかかったが、そこでならユナと二人いいだろう・・・音楽もいいんだぞ。」



次の日、専用ボックスには皇帝夫妻と子供達が入りひときわ盛大な拍手で迎えられていた。
「シン君、随分綺麗になったけど、わざわざ直さなくったって良かったのに。」

(全くわかってないな。チェギョンとユナの為だっていうのに・・・・毎回あんな大口あけていびきをかかれたら恥ずかしいのはこっちなんだからな!!)

シンは言葉にならない視線をチェギョンに浴びせ掛けたが、そんなのはお構いなしにユナと今日の休憩のケーキはなんだろうね、と話す二人をみてガックリきた。
そんな様子をチョン尚宮は笑いを噛み殺して傍に控えている。



コンサートも無事終了し、シンは劇場関係者と話をしていた。
「スハンおじちゃんの所へ行ってきます。」
ジュノはシンにそう言うと、スハンの控室へ急いだ。
「おじちゃん憶えているかなぁ、僕の事。」
ジュノは控室のドアを開けようとした。

「・・・・・・チェギョン、あの頃はホントに楽しかったよ。」
ジュノは思わず立ち止まる。

「今だから言うけど君の笑顔は天涯孤独の僕にとって心の栄養・・・・心の糧だった。ありがとう・・・・」

スハンはチェギョンの手を取っている。
「えっ?かあ様の笑顔はスハンおじちゃんの心の糧だったの?ふーーーん。僕もかあ様の笑顔大好きだ。こう心が温かくなって安心するもん。そうか!これか!心が成長するもとはかあ様の笑顔なんだ!!」





書斎でニコニコしながら宿題をしているジュノにシンは近づき、そっとそのノートを覗いた。

『ぼくの心の糧になるのは、かあ様の笑顔です。かあ様の笑顔を見ると、とっても嬉しくなって優しくなれるんです。僕の心の成長を助けてくれるんです。』

「ジュノ、素晴らしいじゃないか・・・・かあ様の笑顔か。よくそんなこと思いついたな。」
シンは満足そうに笑うとジュノの頭を撫でた。

「とう様、これはね僕だけの考えじゃないんです。」
「どういうことだ?」
シンはジュノを頼もしく見ながら次の言葉を待った。


「昨日ね、スハンおじちゃんが、かあ様に言ってたんです。かあ様の笑顔は、スハンおじちゃんの心の糧だったそうです。ね、とう様素敵ですよね。僕もそう思います。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





シンはその瞬間自分がどんな顔をしたのか、どんな話をしたのか、今だに思い出せないでいる。







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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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