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喪心・・・2 

チェギョンはシンにぶつけて飛び散ったキムパムを、床に座り込んで一つ一つ拾っては空になってしまった弁当箱に集めていた。
時折、彼女のすすり泣きが聞こえる。
ユルはそんなチェギョンを為す術も無くただ見つめて立っていた。

ユルの乾いた声がチェギョンの耳に届いた。
「チェギョン・・・・さっきシンが言った『あの事』って、シンの唇って、まさか・・・・・・」
「・・・・・・・」
「チェギョン、そんなキムパムいいから!僕の方を見てくれ。」
「ユル君・・・・」
チェギョンはキムパムを拾う手を止めた。

「チェギョン、君はシンの事を知っていたね?そしてシンも君のことを知っていた。」
「・・・・ごめんなさい。」
チェギョンは下を向いたまま呟いた。
「チェギョン、もしかして君、シンに何かされたんじゃ・・・・」
チェギョンの止めた手が震えだした。

ユル君、ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・・私どうしたらいい?

「ユル君、隠していたわけじゃないの・・・・昨日・・・大学で・・・・殿下が・・・・」
「シンがどうしたんだ!!」
「私、キスされて・・・・」
「えっ?」

ユルは座り込んでいるチェギョンの両腕を抱え立ち上がらせた。

「チェギョン、シンに許したのか?キスを・・・・」
「いいえ、違う!!」
チェギョンは激しく首を振った。

許したんじゃない。
ただ突然だった。

「僕とのキスは拒否したのに、シンとのキスは拒否しなかった・・・・のか?」
「えっ?」

「拒否しようと思えば出来たことじゃないのか?チェギョン・・・もしかして君・・」

チェギョンは目の前にいるユルの顔を涙がまだ乾かない目で見つめた。
「ユル君・・・酷い。それじゃまるで私が殿下を待っていたみたいじゃない・・・」

「身分が上の皇太子の方が継承権のない僕よりいいに決まっている・・・・」
そう呟いてユルはしまった・・・と思った。
チェギョンはみるみる真っ青になりユルの手を力なく払うと、床に落ちているキムパムを全て拾いふたをして包みバックに入れると、ラウンジを出て行った。ユルはホテルを出て行くチェギョンをただ見送っていた。

心にもないことを言ってしまった・・・・・いや、違う。
シンに対しての劣等感がいつも自分に付き纏っていたことは事実だ。

継承権を持たない自分。
次期皇帝のシン。

この雲泥の差は歳を重ね成長するたびに自分を苦しめてきた。

自分のキスを拒否したチェギョン。
シンのキスを許したチェギョン。

シンに対する嫉妬・・・・それを今、チェギョンをなじる事で昇華させようとする自分の身勝手さにユルは愕然とした。
すべてをチェギョンのせいにした。
僕とシンとの間のことで、チェギョンを責めるのは、おかど違いじゃないか・・・・


ユルはホテルを出たチェギョンの後を追った。
タクシーを捕まえ乗り込むチェギョンが見える。

「チェギョン!!」

ユルは叫んだが、チェギョンを乗せたタクシーはそのまま走り去っていった。

「ゴメン・・・・チェギョン。」

ユルはチェギョンに渡し損なった手の中の指輪を握りしめた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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