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偽りの心、真実の心 ・・・3

次の日、ヒョンに呼ばれたシンとチェギョンは正殿の執務室にいた。相変わらずチェギョンはシンの方を見ようとしなかった。食事も余り摂れてないのか青白い顔で少し痩せている。シンも何度かチェギョンと話し合おうとしたが、その都度拒否されシン自身どうしていいか判らないでいた。


「今日ふたりを呼んだのは仲直りをさせようという訳ではない。」
ヒョンが乾いた声で言った。
「妃宮。お前に皇帝として話しておきたい事がある。」
チェギョンはヒョンの方を向きその眼を見つめた。
「はい。皇帝陛下。」


シンは胸騒ぎがした。
昨日、母からウニョンの懐妊の話を聞かされていたが、自分は強く否定した。いくら酔っていたとしてもウニョンを抱いたかどうかぐらいは自分の体が覚えて・・・・・いる・・・はずだ。今、父が何を言おうとしているのか・・・・・


「妃宮・・・」
「はい、陛下・・・」
「申し訳ない、妃宮。お前を廃妃にし、皇太子との婚姻を解くことにした。これは王室と王族会で決定した事だ。」


「「えっ!!!!!」」


シンとチェギョンは息を呑んでヒョンを見た。


「もう一度言う。妃宮、お前を廃妃にし、シンとの婚姻を解く。」


「父上!!なぜそのような事をおっしゃるのですか!!!!!」
シンが思わず叫んだ。
「あの娘がお前の子供を身ごもったからだ!!!」
ヒョンは苦々しく言った。



あの娘が・・・・・
お前の・・・・・・・
子供を・・・・・・・・
身籠った?・・・・・・・・・・



チェギョンは茫然としてもう一度自分の口で唱える。



ウニョンに・・・・・・・・・・
シン君との・・・・・・
赤ちゃんが・・・・・
できた?・・・・・



チェギョンはふらふらと立つと、執務室の廊下に出た。
目の前が回っている。
廊下にある花瓶に手を伸ばし寄りかかった。花瓶は倒れ下に落ち粉々に砕け散った。花瓶の破片を握ったままのチェギョンの手から血が流れ出した。
それにも構わずチェギョンは東宮殿を目指して歩いた。

「妃宮様?!!!」

人払いを命じられ正殿入口の廊下で控えていたチェ尚宮がふらふらと歩いてくるチェギョンを見つけた。
「妃宮様いかがなされました?」


「チェ尚宮おねえさん、私・・・・もう・・・・・・妃宮じゃない・・・」


チェ尚宮は倒れそうになるチェギョンを抱え、パンとチョン女官を呼んだ。






「父上、いったいどういう事ですか!!」
シンは興奮してヒョンを睨めつけた。
「すべては、シン!!お前の責任だ!!ウニョンという娘、お前の子を宿しておるのだぞ。」
「・・・・・・・嘘です!」
シンは激しく否定した。

「どうしてそう言いきれるのだ?確信はあるのか?元王族として大事に育てられた娘が言っているのだぞ。嘘をつく必要がどこにある?これ以上事を大きくしては、宮全体が危なくなるという事がわからないのか?」
ヒョンは少し興奮して言った。

「ホテルでのことは事実であろう。否定はできまい。」
「・・・・・・・・・・」
シンは唇を噛んで拳を強く握った。

「この王室を守るためお前はイ・ウニョンを妃として迎えねばならない。お腹にいる子は皇太孫である。」
「父上!!!」
「シン。その娘の妊娠は本当です。ご両親にも確かめました。良家の子女が安易に妊娠するような行為をほかの男とすると思うか?」
ミンは悲痛な面持ちで言った。

「判った以上この話は急いで進める。婚礼の儀は追って沙汰する。」
ヒョンはシンに何も言わせないという表情でミンとともに執務室を後にした。


「・・・・・ウニョンに・・・・・・イ・ウニョンに会わなければ・・・・・」
シンは立ち上がると車寄せに向かった。







「旦那様、皇太子殿下がお見えです・・・・」
メイドが慌てて書斎にいるドンウォンを呼びに来た。
家の外に護衛が5人立ち、車の中からシンが降りてきた。

「殿下、このような所に恐縮です・・・・」
ドンウォンは慌てて駆け寄り頭を下げる。シンはそんなドンウォンを一瞥して冷たい口調で言った。

「ウニョンはどこです?」

ドンウォンはシンの様子に驚く。
「ウニョンはどこですか?」
シンはイライラしながらずんずん家の中へ入って行った。

「殿下・・・・」

シンの姿を見たウニョンは手に持っていた本を落とし真っ青になった。
ウニョンが落とした本をシンは拾い上げ表紙を見た。

≪はじめての妊娠と出産≫


「ウニョン・・・・・」
シンはウニョンを見すえた。
「本当に私の子か?」
「・・・・・・・」
「ウニョン、本当に私の子か?」
ウニョンは決心した。もう後悔はしないとあの日誓ったのだ。
「そうです。殿下。」
「・・・・・・・」


もうこれ以上何を言ってもこの娘は自分の言葉を曲げることはないだろう。
シンは落胆し、震える手で拾った本をウニョンに渡す。


「ウニョン、王室と王族会は私とお前の今後について決定を下した。近いうちに私との婚礼の儀の沙汰が降りるだろう。それまでは宮殿で暮らすことになる。すぐ、宮から迎えがくるから支度をしておくように。」
ウニョンは驚いてシンを見つめた。
「あの・・・殿下、私は宮殿に行くのですか?」
「・・・・・そうだ。私が認めなくともそうやってお前が言うのならば、お腹の子は皇太孫なのだろう?・・・・・決まった事を絶対に曲げる事ができないのが『宮』だ・・・・・この家には置いておけない。」
「あの・・・・それで、チェギョンおねえさまは、どう・・・・」


「妃宮は廃妃になる。そして私との婚姻関係も終わりだ!!」


シンはそう言うとウニョンに背を向けた。
「それからこれだけは言っておく。私の妃はシン・チェギョンただ一人だ。お前を愛する事はない。」
シンはそのまま部屋を出て行った。


ウニョンは床に座り込んだ。
驚いて駆け付けた父の言葉も耳に入らなかった。


私が宮殿へ行く?・・・
チェギョン妃は廃妃になり、私が皇太子妃になる?・・・
もう後戻りはできない。『宮』の大きな流れに乗ってしまった・・・・


ウニョンは自分の犯した罪の大きさと、皇太子妃になりたいという夢が叶った喜びの狭間でシンの最後の言葉を繰り返しつぶやいていた。



『お前を愛する事はない・・・・』

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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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