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出逢い・・・その1

「ママ・・・おしっこぉ・・・」
「まあ、チェギョンたらジュースの飲み過ぎでしょ。しょうがないわね。ジュンはだいじょうぶ?」
「はい、かあ樣。僕は大丈夫です。」
7歳くらいの男の子が答える。

「奥様、私が連れてまいります。」
「ああ、ばあや。じゃ、お願いね。」
黒塗りの大きな車が道路の端に停車した。
「お嬢様、さ、参りましょう。」
ばあやと呼ばれた初老の女性は、5歳くらいの女の子を連れて降りると、傍にある店の中に入って行った。



「一体どういう話なのかしら。チェギョンに会ってみたいだなんて。」
チェギョンの母イ・スンレが首をかしげた。
「私も寝耳に水だ。とにかく宮へ行ってみないとな。」
チェギョンを待つ間、後部座席にゆったりと座っていた父のナムギルは、ふとバックミラーを覗いた。

「おい、後ろのトレーラースピード出しすぎじゃないのか?!」
ナムギルは運転手に叫ぶ。

「旦那様、おかしいです!!・・・・うわあぁ!!!!」

その瞬間、轟音とともに黒塗りの車はトレーラーの下敷きになっていた。ガソリンの漏れる匂い・・・・大音響と共に爆発し、トレーラー諸共その車は燃え上がった。


「旦那様・・・・・奥様・・・・坊ちゃま・・・・・・」
女の子の手を握りしめた初老の女性は、激しく燃え上がる2台の車を前に呆然と佇んでいた。







「えっ・・えっ・・・えっ・・・・・・」
「ね、何で泣いてるの?」
「えっ・・・えーん!!」
「困ったなぁ・・・・ほら、これあげる。だからもう泣かないで。」
「ひっく・・・ひっく・・・」
「ほら、手を出してごらん。こうやって・・・・」

男の子はチェギョンの手を開くとそっとそこに大きな丸いアメを一個乗せた。

「うわぁ・・・きれー・・・・おにいちゃん、ありがと。」
チェギョンは涙でぐしょぐしょになった顔を男の子に向けた。

「君ね、僕のお嫁さんになるんだって。お祖父様がそう言ってた。」
「およめさん?」
「そう・・・・・だけどもっと大きくなってからだよ。それに泣き虫はキライだな。」
「う・・・キライなの?」
「うん。」
「じゃ、もうなかない。おにいちゃん、チェギョンのことキライにならないで。」
「いいよ。笑っている顔のほうが、うんと可愛いからね。」




「陛下、ご家族は全員、亡くなられたそうです。」
「では、生き残ったのはあの娘だけなのか?」
「そのようにございます。ただいま、父方の親戚のものが駆けつける由。とりあえず宮殿に戻りましょう。ここではあまりにも目立ちすぎます。」
「そうか・・・・」

陛下と呼ばれた男はそっと自分の孫からアメをもらって泣き笑いしている女の子を見ていたが、残念そうに待合室のソファから立ち上がると、傍にいる孫を呼んだ。

「シン、行くぞ。こちらへ来なさい。」
「はい、お祖父様。」

「じゃ、またね。バイバイ。」
「バイバイ、おにいちゃん。」

たくさんの背広姿の大人に囲まれてその子は玄関に向かった。チェギョンは思わず後を追って駈け出す。
病院の玄関の自動ドアが開いてむせかせるような金木犀の香りが辺りに漂った。

「おにいちゃん!・・・・」

呼ばれた男の子は振り向いて笑った。

「泣いちゃだめだよ。」
「うん。やくそくする。」



チェギョンは手の中の大きなアメを握った。




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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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