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My Lover is only one・・・(My Lady in Seoul より★シン編)





「シン、貴方って酷い人ね・・・」

「なにが?」

「何がじゃないわよ。他にも女の子いるでしょ?」

「いて悪いか?最初から納得づくだろ?・・・・いちいちお前に言われる筋合いはないじゃないか。お前から誘っておいて、今更・・・だろ?ユルと俺。二股かけるなんていい度胸してるよな!」

「・・・・・」















俺と同い年の従兄弟のユルはいつも俺に言う。



『女の子に対して思いやりが足りない、もっと優しくしてやれよ。でないと愉しめないぞ。』



別に好きでもない女に思いやりを持つなんて事はおかしい。女達が勝手に俺を誘っているだけ。その誘いに、ほんの僅かの興味を満たす為と退屈を紛らわす為に俺は乗っている。今更、他の女と付き合っているだの、プレゼントをしてくれないだの、デートに誘ってくれないだの言われたってお門違いだ。今まで付き合った女達は、俺達二人の男を両天秤にかけて、品定めをしているのだから。





胸くそ悪いっ!





従兄弟のユルは今、カン・シホン・ジュディという在米韓国人の女に夢中だ。アメリカに留学中の俺達は在籍している大学からそのまま大学院に進み経営学を学んでいる。本国、韓国に戻れば、きっと親達が決めた相手と政略結婚をさせられるだろう。全てはグループの発展の為に。ユルはここアメリカに居る間だけが自由なんだ、もっもっと恋愛を愉しまなくてはと躍起になっている。ジュディはなかなか手ごわく男に靡かないことで有名だった。そんな所がユルの男の戦闘本能に火をつけたのだろう。



「シン、僕は彼女を絶対落として見せる。」



そう豪語した。
















「ね、貴方イ・ユルさんの従兄弟の方?」



ある雨の日、俺は雨宿りしている講堂の入り口でユルが躍起になってくどいている、あのジュディに声を掛けられた。
確かに彼女は美しかった。抱きしめたらさぞ気持ちがいいであろうバランスの取れた柔らかそうな軀。東洋人の特徴である滑らかな陶器のような白い肌。大きな黒い瞳。真っ直ぐに伸ばした黒髪がしっとりと肩にかかっている。



「イ・シンさんて言うんでしょ?ユルさんのことで相談があるの・・・・」



悪戯っぽく俺の顔を見上げた愛くるしい彼女の笑顔に俺はついっと手を伸ばし、いきなりその艶やかな唇を奪った。
案の定みるみるその黒い瞳に水滴が溜まり始め、そんなつもりじゃなかったのにと言わんばかりの瞳で、奪われた唇を抑えながら俺を軽く睨みつける。
簡単な事だ。女にキスするなんてことは・・・・
この女を堕とす為にどれだけユルが苦労しているか判らないが、少しのチャンスさえあればこうして難なく事は運べる。



「どうして・・・・・何のつもり?!」



お決まりの文句だ。さて、お次は?その溜まった塩水を流す・・・か?



ジュディの頬に大粒の涙が一つ、二つと零れ始める。
ふふん、何のつもりもこんなつもりもない。お前が誘われて当然という目をしたからだ、と言い返したかったが、視界の端に俺達を見つけて血相を変えてやってくるユルを捉え俺は押し黙った。



「ジュディ、探したんだぞ。一緒に帰ろうと思って・・・・どうして此処にいる?」



どうして此処にいる?・・・・か。ユルそれは愚問だ。彼女は俺に会いに来たから此処にいる。
冷ややかな目でユルを一瞥すると、女に視線を移し、俺は出方を見守った。



「ちょ・・ちょうど此処で一緒になったの。ほら、傘に入れてあげようと思って・・・・・」



下手な言い訳だ。俺にキスされた事は・・・・・言うわけない。
ガードが固いなんて、ただの見せかけだ。しょせんこの女も他の女と同じ。男に靡かないのではなく、男に崇め奉られるのを待っているに過ぎない。女達が躍起になって俺達の恋人になろうとしている中、ユルには声を掛けられたが、俺には声を掛けられない。それが許せなかったのだろう。俺は知らんぷりを決め込んで片手を伸ばし、雨の雫をその手の平に受け取った。



「シン、一緒に帰ろう。一人なんだろ?僕の傘を貸すから・・・・」

ユルはそんな俺を気の毒そうに見ると、手に持っていた傘を俺に手渡そうとした。

「いや、いい・・・・このまま帰るから。」

俺はユルの差し出した傘をやんわりと押し返すと小雨の降る中を駆けだした。
この世の中で、心から誰かを愛するなんてことは幻想に過ぎない。
心が壊れるほど、相手を想うなんてことは到底バカらしく、そんな稚拙なことは、小説の世界だけでいい。
現実を生きる俺は、ただ己が欲求を満たしてくれて、自分のステージを上げる相手がいればそれでよかった。
きっとあの女は巧い言いわけをして、もうじきユルの手の中に堕ちていくフリをするだろう。
恋や愛などくだらない。










アメリカでそんな自由を謳歌していた俺達の元へ一本の電話が入った。
『すぐ韓国にお戻りください。』
じーさんの秘書をしているチェという女からの電話だった。いよいよあのじーさんもくたばってしまったか?それとも何か他の事でか?ユルは漸く恋人となったジュディとの関係は壊したくないといい、指輪を渡したと言っていた。たいした価値もない女なのにそこまでするユルに苦笑いをして、そうか、とにかく堕とすまでにはだいぶ金を使ったからな・・・このまま捨てるのも惜しいし、繋ぎとめておかないと誰かに盗られて、今までの苦労が水の泡だって言ってやった。

『もっと優しくして』『冷たい』『酷い』すぐ女達はそういう。

仕方がないじゃないか。お前達は損得で俺に近づいてくるのだから。冷めた目でお前達を見下ろす俺の表情にだって痺れるなんていう女もいる。もう、うんざりだ。


韓国に戻ってきて、じーさんに言われた。
『後継者になりたければ、身分を隠し、この半年間で伴侶となるべき女性を探し出し、婚約する事』
こんな無茶苦茶な事はない。とうとうじーさんもボケたか・・・・とその時は思ったが、まさかこの後で自分の人生を揺るがすほどの女性に出逢うとは思わなかった。

12月の始め、最初の雪が降り始めた頃、彼女に出逢った。
女に対していい加減うんざりだった俺は、彼女もその類だと信じて疑わなかったし、この出逢いがまさに最低最悪だったのだ。
全ての自由をじーさんにもぎ取られて、ほんの少しの金と衣類を両手に携え、降りしきる雪を避けて店の軒下に立っていた時だった。まるでお決まりのドラマのように、間違って俺のマフラーを引っ張った彼女。
乗るバスも同じ、降りるところも同じ、住む場所も・・・・・・



ただ・・・・・



彼女は今までの女達とはかなり違っていた。
勿論、俺の身分を伏せていたせいもあるのだろうが、自分を飾らない、媚びない、そしてどこまでも正直なのだ。
撃てば響くように辛辣な言葉を返してくる彼女。
いつしか、『シン君』と自分を呼ぶ彼女の声が聞きたいが為に、意地悪な言葉を浴びせ続け彼女を怒らせ、それを愉しんでいる幼稚な自分がいた。


今まで味わったことのない不思議な感覚だった。


常に色目を使い、俺たちの背景を熟知した上で近づいて来る女達と明らかに違う。彼女は『俺』そのものに言葉を投げつけ、怒り、戸惑い、そして泣いたのだ。

ジュディにしたように彼女にも何の前触れもなくキスをしたことがあった。だけど俺はその事をすぐ後悔することになる。彼女にとってはファーストキス。それなりに初めてのキスには思い入れもあったのだろう。彼女に噛まれた唇が痛いと言うよりは、他の女達と同じように彼女に対してもその行為をしてしまったという事に、言いようのない後ろめたさを感じ、それらが俺自身を責め続けとても苦しかった。
俺が彼女を好きになったのは、きっとあの最低最悪の雪の日の出逢いからだろう。その事に俺は愚かにも気付かず、彼女を随分傷つけた。
じーさんとの約束の期限がせまっている今、俺は彼女に自分の身分を早く明かさなければと思い焦っている。


大財閥イ・グローバルグループの御曹司。


誰もがうらやむ贅沢な暮らし。自由な生活。しかし、その反面、責任も重い。何万人という社員の生活を背負っているのだ。失敗は許されない。
今まで黙っていたのは彼女が、自分と同じような境遇で、貧しい暮らしを余儀なくされている青年・・・と俺の事を勝手に思い、信じて疑わなかったから。

だから、『財閥の御曹司だった』って事を知った時に、正直に生きてきた彼女が嘘でまみれたこの俺を許してくれるのだろうか、それとも俺に遠慮して、社会的立場が違うだの、身分が違うだのと言って、離れて行ってしまうのではないか、ついには彼女を失ってしまうのではないか・・・と考えれば考えるほどに恐ろしくなって・・・・・・ズルズルと半年を過ごしてしまった。





チェギョン・・・・




もし俺が本当の事を言ったら、お前はどうする?嘘をついていた俺をなじるか?憤りを感じるか?



愛しているんだ。



お前は俺のただ一つの夢。
お前は俺のただ一つの希望。
お前は俺のただ一つの未来。



失いたくない。



その香り、声、笑顔、この世にただ一つだけ存在するお前そのものを愛している・・・愛している、チェギョン。





お前だけを・・・








愛している。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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