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ハッピーウェディング (第5回PHD自主参加作品)加筆済み

「さぁ、出来ましたよ。まぁ・・・なんてお美しいんでしょ。」
「チェギョン・・・・素敵。完璧に私の負けね。」
「ナヨン・・・またそんな事言って!」
「だってチェギョン、見てごらんなさいよ。」

ナヨンはチェギョンの後ろに立つとそっと背中を支えて大鏡の前に立たせる。

「あ・・・」
「ね、すっごく綺麗よぉ。イさん、またチェギョンに堕ちてしまうかも。」

にこっと笑ったナヨンはブーケをチェギョンに渡す。ジャスミンの花の香りが辺りの空気を染めて、チェギョンはその香りを胸いっぱいに吸い込んだ。


3年前イ・グローバルグループのイ・ソンギの思惑も多少はあったが、偶然に知り合ったシンとチェギョン。何度も喧嘩を重ね、それでも惹かれあい、ついに二人は絶対に分かつことのない愛によって結ばれた。
その後シンはアメリカを引きあげて韓国に戻り、グループの一員として尽力し、経済界トップの一員として内外からその名を知られるようになっていた。一方チェギョンは、長らく休学していた李花女子大学を無事卒業し、社長秘書チェの元で一からグループの事を学び、今では社員の福利厚生の仕事を任されるまでになっていた。
ナヨンはというと、李花女子大を卒業した後、イギリスの大学院に留学し、チェギョンの結婚式のため、昨日帰国したばかりだった。


「ね、チェギョン。ブーケは私に投げてよね!ぜったい幸せな結婚をするわ!」
「ええ、ナヨン。しっかり受け取ってね。」

ふふふ、と笑う二人。もう3年前のわだかまりなどとうに消えていた。

「新婦様、お父様が教会の入り口でお待ちです。」
「はい、わかりました。今行きます。」
「チェギョン、なんだかドキドキして来た。どうしよう・・・」
「・・・・ナヨン。介添えありがとう、お願いね。」

長いレースのベールを引いて教会の入り口に向かう。
重厚な扉の前に父ナムギルが燕尾服を着て咳払いをしながら立っていた。

「パパ・・・・今日はありがとう。」
「チェギョン・・・綺麗だよ。パパは嬉しいよ。こんな・・・こんな日を迎える事が・・・出来る・・・なんて・・・」
「泣かないで・・・パパ。おね・・が・・い。」
「おじさん、駄目ですよ。チェギョンを泣かせたりしちゃ。ほら、お化粧が崩れちゃうじゃない。イさんが待っているんだから・・・・一番綺麗なチェギョンを見せてあげなくちゃ。」
「う・・ん。」

パイプオルガンの音が教会中に響き渡った。ごくりと唾を飲み込む父ナムギル。あきらかにあがっているのが判る。チェギョンはそんな父の左腕にそっと白い手袋をはめた腕を滑り込ませた。

「パパ・・・パパと一緒にこうして歩くのは初めてね。長い間ありがとう。私幸せになります。」
「チェギョン・・・」
「いつも逢えるわ。すぐ近くですもん。毎日だって逢いに行くわ。」
「・・・・大丈夫だよ。チェギョン、イ君と幸せになりなさい。」

ナムギルはぐいっとチェギョンの腕を引くと顔を上げて真っ直ぐ前を向いた。


≪新婦の入場です。皆様拍手でお迎えください≫


扉がゆっくりと開かれ、二人は真っ白なバージンロードを歩き始める。パイプオルガンの調べに合わせて一歩一歩・・・

チェギョンのあまりの美しさに大きなどよめきが起こり、祭壇の前で待つシンに羨望の眼差しを送り続ける右側の紳士たち。
彼女の美しさに頬を染めて、憧れに似た気持ちで夢中になって拍手を送る左側の淑女達。

父の腕がこころなしか震えて、チェギョンは涙が零れそうになった。祭壇の前で歩みを止め、チェギョンの腕をそっと外したナムギルは前に立つシンにチェギョンの腕を託した。

「イ君。娘を・・・娘を宜しく頼む。」
「はい、お任せ下さい・・・」

互いに小さくうなずき、ナムギルはスンレの隣の席に戻って行った。
シンは差し出されたチェギョンの手を取り、自分の方に引き寄せる。彼女の手から伝わる震えが自分の左手に感じられて思わず強く握りしめた。ベールの中でうつむくチェギョン。華奢な肩と首の白い窪み。思わず触れてみたくてそっとシンは頭を寄せ囁いた。

「チェギョン・・・綺麗だ・・あんまりドキドキさせないでくれ。」
「シン君、たら・・・・」

チェギョンの右腕をもう一度取り直すと、一段一段と祭壇へ昇っていく。
パイプオルガンが讃美歌の調べを奏で、清らかな歌声が教会中に響き渡った。神父を前にして二人は頭を下げ目を閉じた。

「たとい、私が人の異言や、御使いの異言で話しても、愛がないなら、やかましい銅鑼や、うるさいシンバルと同じです。また、たとい私が預言の賜物を持っており、またあらゆる奥義とあらゆる知識とに通じ、また、山を動かすほどの完全な信仰を持っていても、愛がないなら、何の値打もありません。また、たとい私が持っているもの全部を貧しい人達に分け与え、また私の体を焼かれるために渡しても、愛がなければ、何の役にも立ちません。愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。愛は決して絶えることがありません。」

シンの腕を取るチェギョンの手が震えた。
シンは、ベールの下のチェギョンを見る事は出来なかったが、明らかに彼女は泣いている・・・と思った。
チェギョンが掴んでいるシンの腕が、彼女の腕を更に引きよせようとしている。
チェギョンは自分が泣かないように、シンが励ましてくれている・・・と思った。


二人の前に用意された揃いの指輪。

「では、誓いの言葉を・・・・」

二人は互いに指輪を持ち向き合った。

シンがチェギョンを見つめ、はっきりした声で彼女に語りかけた。

「私は、この指輪を持ってあなたを娶ります。私のものはあなたのものです。私はあなたを愛します。」

震える声でチェギョンが目の前にいるシンを見上げ、彼に語りかけた。

「私は、この指輪を持ってあなたに嫁ぎます。私のものはあなたのもの、私はあなたに仕えます。」

静寂の中、それぞれの薬指にシルバーに光る指輪が納められる。シンはチェギョンの両手をとり、優しく握りしめ微笑んだ。

「チェギョン・・・幸せにする。今まで以上に・・・愛してる。」
「シン君・・・私も貴方を幸せにしてあげたい。」

招待客の間からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。
ゆっくりとチェギョンの顔を覆っている真っ白なレースのベールに両手を近付ける。下からベールを挙げたそこには、ふるふるとまつ毛に涙を宿し、花びらのような唇をこころなしか震えさせながら儚げに立つチェギョンがいた。シンは、そっとその震える唇に親指で触れた。

「泣いていたな。鼻が真っ赤だ・・・長いこと待たせた。俺のありったけの想いを受け取ってくれ、チェギョン。」
「シン・・・く・・」

シンはチェギョンの言葉が終わるのも待たないで、彼女の腰を強く引き寄せ、その細い首をしっかり支えると、花びらのような彼女の唇に自分の唇を重ねた。何度も何度も優しく唇を食んでいく。
時折、涙にぬれたチェギョンの頬を唇でぬぐいながら・・・・
最初はにぎやかに拍手をしていた招待客達だったが、あまりの熱烈な二人の誓いのキスに、次第に教会中が鎮まり返っていく。年配者達は咳払いしながら祭壇上で長いキスを繰り返す二人から視線を外し、友人たちは顔を紅潮させて食い入るように見つめた。

神父が咳払いをすると、シンはハッとしてチェギョンを慌てて胸元に抱きかかえた。

「もう・・・シン君たら」
「いいんだ。ずっと我慢してきたんだから。見せつけてやりたいのもあるし・・・・」

再び彼女の薔薇色に染まった頬に軽くキスをしてクスッと笑う。客席の中にはいつの間にかユルが座っており、苦笑しながら二人に大きな拍手を送っている。
羽ペンを持ち、婚姻届にそれぞれサインする二人。

「うぉっほん!これにて、二人の結婚は成立いたしました。おめでとう!」

神父の言葉に、歓声が挙がり、全員が立ちあがって教会の中は大きな拍手の渦となった。
白いバージンロードが教会の外へと続いている。扉が大きく開かれて、シンとチェギョンは教会の鐘が鳴り響く中、庭園への階段を降りはじめた。
招待客達は、それぞれの手に小さな籠を持ち、二人にライスシャワーを降らせる。チェギョンは其の祝福のシャワーを受けながらシンの体にそっと身を傾けた。

「シン、チェギョン、おめでとう・・・」

「ユル・・・」
「ユル君・・・」

「愛する人と結婚するのがどれだけ素晴らしいことか・・・すっかり当てられちゃったな。」

笑いながらシンと握手するユル。
チェギョンは微笑みながらそんな二人を見つめた。




教会の前に並んだ淑女達。全員が両手を天に向けている。
シンと並んだチェギョンはくるりと後ろを向くと、ブーケを握りしめ目を閉じた。

「じゃ・・いくわよっ!」

雲ひとつない抜けるような青空に、チェギョンの投げたブーケが何処までも何処までも高く上がっていった。









「シン君・・・」
「なんだ?」
「誓いのキス・・・」
「恥かしかったか?」
「う、うん。ドキドキしたけれど、嬉しかった・・・・幸せよ。」

マンションの最上階、ペントハウスから見る夜景は美しかった。それ以上に美しい自分の妻のチェギョンの軀をベットの上で引き寄せるとシンは耳元で囁いた。



「これからもずっと幸せは俺達の上にある・・・・チェギョン、愛してる。」
「愛してる、シン君・・・」
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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