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ガンヒョンVS ヒョリン (第4回PHD自主参加作品)

「ちょっと、どいてくれない!?そこ私の席ですけど!」

ヒョリンの大きな声に、イン、ギョン、ファンが駆けつけた。本日の主役シンは・・というと知らないフリを決め込んで彼女達に背を向けている。



「もう、チェギョン。なんであそこで言い返さなかったの?アンタはね、殿下の奥さんなのよ。皇太子妃殿下!韓国女性のナンバー3!ヒョリンなんかとは格が違うのよ!格がっ!」
「ガンヒョン、そんな事言ったって後からあそこへ座った私が悪いのだもの。ごめんね、プレゼント、シン君に渡せなくて・・・」
「チェギョン・・アンタってば・・どうしてそうなの?もっと堂々としていなさいよ。アンタだってまだプレゼント、殿下に渡していないでしょ?」
「う・・ん。]

両手に四角い箱を抱えたチェギョンは俯いた。






ここは済州島にある王室リゾート。
シンの19回目のバースディパーティが各国の要人や王族会メンバーとその家族、シンの友人達を招待して華やかに行われていた。チェギョンの両親や友人達は招待されず、チェギョンのたっての希望でようやくガンヒョン一人をこのパーティにねじ込ませてもらっていた。いわば自分の味方はガンヒョンだけ。心細さに押し潰されそうになっている所にきて、場馴れしたヒョリンに自分のことを卑下されてどうしようもなく落ち込むばかりのチェギョンだった。

「よしっ!私いくわ!」
「ガ、ガンヒョン、ど、何処へ?」
「決まっているじゃない。アイツの所へよっ!」

鼻息も荒くガンヒョンはベンチから立ち上がると、シンやヒョリン達の休んでいるラウンジへ乗り込んだ。サングラスを掛けてゆったりと寝そべっているヒョリンの前に立つと、そのサングラスをもぎ取り驚いたままのヒョリンの肩を揺すった。

「な、何をするのよ!」
「ちょっと!顔貸しなさい!」

鬼のような形相のガンヒョンに一瞬ヒョリンが怯む。隣で目を瞑って寛いでいたギョンが驚いたように起き上がった。

「一体なんの騒ぎだよ・・・ああ、アヒルのチングか。庶民はゆったり寛ぐってことを知らないようだな!」
「煩い!ギョンだか、ガンだか知らないけれど、アンタは引っ込んでなさい!」

ガンヒョンは眼鏡を外すと口でそのフレームをくわえて、長い髪をシュシュで一本に束ねた。
キッとヒョリンを睨むと思いっきり手を引き彼女の体を起こす。

「シ、シン。なんとか言ってよ。私酷い目に遭ってるわ!」
「アンタが殿下に何かを頼みこむなんておかしいじゃない。殿下の妻はチェギョンなのよ。それを差し置いて・・・アンタに話があるの、顔かして!」

ヒョリンの抵抗も空しく、ガンヒョンはぐいぐい彼女をひっぱりラウンジから出ると、噴水の傍のベンチに無理やり腰を降ろさせた。
回りには誰も居ない事をガンヒョンは確かめて、ベンチに座らせたヒョリンの前に仁王立ちに立つ。
一方ラウンジでは、ギョンがシンに声を掛けていた。

「なぁ、シン。今アヒルのチングがヒョリンを何処かへ連れていったぞ。いいのか?放っておいて。あのガンヒョンとかいう女凄い顔していたぜ。」
「・・・俺には関係ない。」
「おい、シン!」
「俺に用事があるなら俺に直接言いに来るだろ?ヒョリンに用事があったんだ。」
「シン・・・おまえ・・・いいのか?」
「・・・何が?」
「その・・ヒョリンが・・・・」
「心配だったら、ギョンお前が行けばいいじゃないか。折角の寛ぎ時間が台無しだ。俺は部屋に戻るから・・・じゃあな」
「シン!おい、待てよ、シン!」

シンはギョンの言葉に振り向きもせず、ラウンジを抜けホテルの部屋に向かった。





「なんなのよ、こんな所に呼び出して。ラウンジだって用は済んだでしょ?」
「ふーん、アンタってまるでキツネね。殿下の前ではにっこり笑って可愛らしいフリをするのに、ここではまるで鬼のような顔をしているわ。」
「なんですって!」
「あそこで言ったらフェアじゃないから言わなかったけど・・・ヒョリン、あなたって本当はお金持ちのお嬢様じゃないわよね。」
「えっ!?」
「隠し通すのは大変だと思うわ。それにそのドレスや高い贈り物、どうしたのかしら・・・」
「・・・・」
「チェギョンはね、殿下があなたにプロポーズしたのを知っているわ。そして亡き皇帝の約束を盾にして自分がアンタ達を別れさせたと思ってる。だけど、ホントは違うわよね。貴方はバレエの為に殿下を捨てた、そうでしょ?結婚の儀の日、貴方はタイのバレエコンクールにいた。貴方は殿下よりもバレエを取ったのよ。」
「・・・・」
「彼女は亡き皇帝の約束もあったけれど家の借金のこともあって宮に入ることを決めたのよ。それこそ悩んで悩み抜いて・・ね!」
「そんな事、私には関係ないわ!」
「・・・ふん、たとえそうだとしても、大事なのは此処からよ。チェギョンはそんな中で殿下を好きになっていったの。例え振り向いてくれなくたって一緒に居られるだけで嬉しいって・・・」
「あの子・・・が?愛のない結婚だって・・・・」
「ふん!違うわ。チェギョンは殿下を愛しているの。チェギョンは殿下のれっきとした妻なのですから!殿下に横恋慕するなんて王室冒涜罪に値するわ。そんなに殿下が大事だったら殿下のプロポーズを受ければよかったじゃない!それを今更・・・・・・たかが住み込み家政婦の娘のくせにっ!金持ちのフリしてっ!」
「・・・・・・」

ヒョリンは急に俯いた。膝の上で握り締めた拳が震えている。

「あ・・・言い過ぎたわ・・・・だけど、だけどね。チェギョンは今のあなたの傷ついた心の何十倍も傷ついているんですからねっ!」

すくっと立ち上がったヒョリンにガンヒョンは一瞬たじろいだ。

「・・・あのね、ガンヒョンさん、私も言わせてもらうわ。私が金持ちの娘だなんて一言も言った事ないし、それは勝手に貴方達が決め付けた事でしょ?ドレスだってプレゼントだって自分のお金で買ったものだわ。シンがチェギョンに冷たいのは私の責任じゃないし、プロポーズだってまたされたら今度は受けるわ。」
「なんですって!?」
「もう二度と後悔したくないし、皇太子妃の座だって魅力的よ。じゃ、お話は終わりね。いくわ・・・」
「ちょ、ちょっと!待ちなさいよっ!」

ヒョリンはガンヒョンを無視してホテルの方に向かって行ってしまった。






ラウンジからホテルに戻ってくるシンの姿を見てチェギョンは辺りを見渡し、誰も居ないところを確かめるとシンの前に走り出た。

「あ、あのシン君・・・」
「なんだ?」
「ちょっと・・・ここに座って。」

シンにロビーのソファを勧めて腰を降ろさせると、チェギョンは恥かしそうに後ろに隠したリボンのついた箱をシンの目の前に置いた。

「なんだ?これ・・・」
「シン君へのプレゼント。シン君、お誕生日おめでとう、19歳か、私とは一つ違いになっちゃったね。」

頬をピンク色に染めて恥かしそうに俯くチェギョン。おずおずと差し出された箱を見てシンはほんの少し頬を緩ませた。

「なんだ。お前からのプレゼントは無いかと思っていた。」
「えっ?ご、ごめんなさい。あ、あの・・皆さん凄いプレゼントだからすっかり気遅れしてしまって、会場では出せなかったの。」
「プレセントはプレゼントだ。比較なんてしていないし、した事もない。」
「へっ?そ、そうなの?」

シンはブルーのリボンを外すと、テディベアの包装紙を取り外し箱の蓋をゆっくり開けた。

「!」
「えへへ・・・ごめんね。そんなものだから恥かしくって・・・・」
「チェギョン、これって、あの時の?」
「うん・・・シン君と初めて会った時『捨てておけ』ってシン君が言って蹴っ飛ばした上靴・・・ご、ごめんね、こんなリサイクル物迷惑だったよね。」

シンは箱から青龍の文様のつけられた上靴を取り出し床に置いた。自分の靴を脱ぎ上靴に足を差し入れていく。






「全く・・・・ガンヒョンとか言ったわね!絶対許さない。この私によくも恥をかかせてくれたわ・・・・・あっ、シンだわ。シンに言いつけてやる!ねぇ・・シ・・・」
ロビーのソファに座ったシンの後ろ姿が見えたのでヒョリンは彼に声を掛けようとして手を上げ近づいたが、観葉植物の陰になって今まで見えなかったチェギョンに気付いて、慌てて物陰に隠れた。





「あ、あの・・・シン君。」

上靴を履いたままずっと押し黙っているシンを前にしてチェギョンはシンが怒っているのではないかと心配になってきた。
シンの前に座り込み、彼が履いている上靴に手を掛ける。

「も、もう脱いで・・・恥かしいから。す、捨てるわね。ごめんなさい、シン君。」
「どうして捨てるんだ?チェギョン、お前が拾ったんだろ?」
「え?」
「ありがとう、チェギョン。こんなプレゼント初めてだ。お前からのプレゼントは無いって思っていたし、それに腹をたてていた自分が情けないよ。」
「シン君・・・」
「最高のプレゼント・・・さ。」

シンは目の前に膝まづくチェギョンの肩を引き寄せると頬に手を添えた。額にかかった髪を掻きあげてそっとキスをする。

「えっ?えっ?ええーっ??」

素っ頓狂な声を上げて額に手を当て、その場に気が抜けたように座り込んだチェギョン。シンは、片手に青龍の上靴を持ち片手で床に座り込んだチェギョンを引きあげ、笑いながらチェギョンの肩を抱いてホテルの部屋に向かっていく。







「なあんだ、殿下ったらチェギョンからプレゼントを貰えなかったからって拗ねていたのね。ほんとにどうしようもない皇太子サマですこと。」

柱の陰で呆然と佇んでいるヒョリンの後ろで声がした。驚いてヒョリンが後ろを振り向くとガンヒョンが勝ち誇ったように腕を組んで立っている。ヒョリンは悔しそうに唇をかみしめると逃げるようにホテルを出て行った。
ガンヒョンは見えなくなったヒョリンから視線を皇太子夫妻に移すと大きく溜息をついた。

「全く、私、何のために怒ったのかしら・・・・」
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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