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迷いの森・・・1

海沿いの道をシンは車を飛ばしていた。
月明かりで海が明るい。
車を操りながらシンは自問自答していた。

もし、チェギョンがユルのところに居て自分と一緒に帰るのを拒んだら・・・いや、そんなはずはない。俺達はやっとお互いの気持ちが通じ合ったばかりだ。

この愛をゆっくり育てようと、ややもすればチェギョンと肌を合わせたい気持ちをずっと抑え、大切に、大事に、宝物のようにチェギョンの髪や頬、唇に触れてきた。

自分のものにするのは容易い。でも俺達はもう夫婦だ。この先もずっと一緒に過ごしていける。急ぎすぎてはいけない。あの笑顔を曇らせてはならない。

シンはチェギョンを無性に抱きしめたくなった。


「チェギョン・・・お前はいったいどこにいる・・・」




イ・ソムルの別荘が森の中に現れた。ところどころに灯りが付き、女官達がせわしなく歩き回っているのが遠目でも見えた。
ユルはここにいる!

シンは車を玄関に通じる道の脇に止め、静かにドアを閉めた。
石畳のポーチに続く小道をシンは女官達に気づかれないように歩んだ。
裏手に回ると腰高の窓があり、中を覗くと間接照明が静かに部屋を照らしていた。

「ユル・・・・」

その部屋のおおきなソファにはシンを背中にしてゆったりと寛ぐユルの姿があった。

シンは静かに窓を開けるとヒラリと飛び越え部屋に入った。
ユルは僅かに空気がうごくのを感じ、振り向く。

「ユルっ!!!!許さない!!!!チェギョンはどこだ? どこに隠した?!」
シンはユルの胸ぐらを掴むと呻くように言った。


「チェギョン?宮殿に居るんじゃないか?ここにはいるわけないじゃないか、シン。」
「お前が連れ出したのはわかっている。チェギョンを連れだしたお前を見たものもいる。」
「確かに、僕はチェギョンを連れて宮殿をでたよ。だけど、それはチェギョンが望んでのことだ。」
「なにっ?」
「写生の題材についてやはり女官には任せられないと言ってね、自分で行くと言ったんだ。だけど、ちゃんと送り届けた。ただ、また誤解されると嫌だからと表門の側で降りたけど・・・・チェギョン、いなくなったのか?!!」


シンはユルの言葉に構わず部屋を飛び出しあらゆる部屋をひっくり返してチェギョンを探した。

「皇太子殿下?!!!!」
「どうして殿下がこちらに?」

女官達が騒ぎ始めた。



「殿下、非常にまずい事態です。後は我々にお任せください。」
いくら叫んでも一向に姿を現さないチェギョン・・・本当にいないのか?

「シン・・・皇太子殿下、ずいぶんだな。僕に恥をかかせる気か?帰ってくれ、もう遅い。ホテルは僕が手配する。」

ユルはそういうとクルリと踵を返しシンに背中を見せ、もうたくさんだ・・という態度をとった。



「ユル・・・もし、お前のいうことが本当なら誤るが、俺は信じたくない。自分から宮殿をでるなんて・・・」
「シンもう帰れ。何かあったら連絡する。」



別荘を後にするシンの背中を見ながらユルは静かに哂った。

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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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