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希望・・・1

景福宮には再び春が訪れていた。
中庭にぐるりと植えられた梅の木が厳しい冬を耐えて今、全ての枝に香り高い白い花を咲かせている。


久しぶりの好天に恵まれた3月のある日、王室主催の園遊会が行われた。
慶会楼では、各界の著名人達が招待され、皇帝や皇后を前に、にこやかに挨拶が繰り広げられ、本日の目的でもある、妃候補についての談義を交わしていた。
会場は慶会楼の他に中庭にもテントが張られ、簡単な食事も摂れるようテーブルには、見事なオードブルや、フルーツ、スイーツなどが所狭しと並べられていた。
夜は宮殿の大広間で大舞踏会も催される予定で、妃候補の娘達は、たくさんの荷物を持って迎賓宮の控え室に集まっている。

「では、皆様。これよりお部屋をご案内いたします。」

一人一人に更衣及び休憩室が与えられ、それぞれの部屋に尚宮に促されて入っていく。
チェギョンもそうした中にいた。








今朝、迎賓宮に出かける前にシンが別邸を訪れていた。

「チェギョン・・・・・いよいよだな。」
「うん・・・・なんかドキドキしてきた。」
「大丈夫さ・・・・みんなお前の事を認めてくれるはずだ。」
シンはそう言うとチェギョンを優しく抱きしめ、そっと其の可愛らしい顔を見つめた。

「おまじない・・・・しようか?」
「おまじ・・ない?」
「そう・・・・・・・・」
シンはそっとチェギョンの右手を取ると、自分の手のひらに乗せた。

「なにするの?シン君・・・・」

「目を瞑ってごらん・・・・おまじないが効かないぞ。」

クスっと笑ってチェギョンの頬をつつく。
チェギョンは言われたとおりそっと目を閉じた。
シンはポケットから銀色に輝く小さな物を取り出すと、そっと彼女の右手の薬指にそれをはめていく。

「えっ?」

「さあ、目を開けていいぞ、チェギョン。」
ゆっくり目を開いたチェギョンは、あのいつかの指輪が自分の薬指に煌いているのを見つけた。

「・・・・・シン君・・捨てなかった・・の?」
「捨てるはずないだろう?あの仮面舞踏会で別れたあとチェギョンは俺のこと忘れようとしたんだろうが、俺は逆に絶対お前をここに連れてくるって誓ったんだ。」
「シン君・・・」
「大丈夫だ、俺がいつも傍にいる。」

シンはそっとチェギョンの右手を持ち上げると其の指輪にキスをした。シンの右手にも同じ文様の銀の指輪が光っている。

「シン君・・・・頑張る。一生懸命やる。絶対認めてもらう。」
「チェギョン・・・・」

シンは再びチェギョンを抱きしめるとその芳しい髪の香りを嗅ぐように口づけし、顎に手を添えて、彼女の唇を優しく啄んだ。

「おまじないは終わり。さあ行くぞ。」
シンは優しく微笑むとチェギョンの手を強く握り締め、別邸の車寄せに向かった。


今日・・すべてが決まる。
俺とチェギョンの未来が開かれていく。








一旦東宮殿でシンを降ろした車は迎賓宮に向かった。既に迎賓宮玄関には数台の黒塗りの高級車が連なり、順番を待っている。
「チェギョン様、少々お待ちください。玄関到着まであと少し時間がかかりそうです。」
東宮殿からチェギョンの衣装を持って車に乗り込んできたチェ尚宮は、そっとチェギョンに言った。

「すぐそこだから歩いて・・・・」

「駄目です!チェギョン様、必ず玄関に着くまでは降りてはいけません。これはとても大事なことです。」
「ああ・・・・そうだった。チェ尚宮お姉さん、ゴメンね。私なんだかドキドキしてしまって・・・」
チェ尚宮はにっこり笑って言った。

「大丈夫です。チェギョン様は他の誰よりもお綺麗でいらっしゃいますよ。今朝、殿下がご訪問されたのでしょう?きっと大丈夫です。」
「う・・・・チェ尚宮お姉さん、し・・・知ってるの?」

チェ尚宮はチェギョンの問には答えず、キリッとした声音でいった。
「チェギョン様、玄関に着きました。いいですね。今までお教えしたこと、全て身についておいでです。自身を持って顔を上げて堂々と・・・・・・宜しいですね。」


「は・・はい。」


侍従がチェギョンの乗った車の扉を開ける。チェギョンは体の向きを変えてゆっくりと車から降り立った。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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