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奇跡・・・1

年の瀬も押し詰まった12月28日、議会が皇太子によって招集された。皇太子による招集は初めてであり、各議員達は首を捻った。

「いやあ・・・・この年の瀬に一体何でしょうね。」
「本当に。迷惑もいい所です。本当は今日から日本の沖縄にバカンスに行こうと思っていたところなんですよ。」
「おや、私も済州島の別荘に行こうと思っていたのに、殿下も罪な事をなさる・・・」
議員達は其々自分達の時間を割かれた事に不平を言っていた。


「皇太子殿下のおなりです。」


一斉に襟を正し起立して議員達は入り口の扉を見た。
後ろにコン内官を従えたシンが壇上に座ると、一斉にお辞儀をして、其々の席へ着席した。


「さて、この忙しい年の瀬に皆さんのお手を煩わせてしまい申し訳なく思っている。今回議長も兼ねるミン最高長老が私用の為欠席との連絡を受けたので、代わりの議長を選出してもらいたい。」
議員達の間にざわめきが走った。
「最高長老の欠席を認めるなら、私も欠席すればよかったな・・・・」
「本当に・・・・・」
コン内官は大きく咳払いをしてジロリと議員達を睨んで言った。
「どなたかいらっしゃいませんか?」
誰もやる気がなさそうに俯いた。
「・・・・では、議員としても経験が長いイ長老に頼みましょう。」
コン内官がにっこりと笑ってイ長老を壇上に促した。
「では・・・選ばれたからには議事の進行に誠心誠意努めさせていただきます。」
イ長老はシンに微笑みかけるとゆっくりと議長席に座った。

「では、殿下からの懸案事項二項について検討させていただきます。まず、最初の一項の資料をお配りしますので、お目をお通しください。」

議員達は其々に配られた資料の表紙を捲ったとたん、驚いた顔つきで見合って、最後にシンの顔を穴があくほど見つめた。
議員の一人が挙手した。

「どうぞ、ヨン議員。」
イ・長老は落ち付いた声でヨン議員を呼んだ。

「こ・・・これはどういう事ですか?殿下。り・・・離婚などと・・・・」
「ここに書いてある通りです。」
シンは冷たく言い捨てた。

「し・・しかし、離婚など前代未聞ですぞ。いったい皇太子妃になんの落ち度があったというのです?仮にも最高長老のお孫さんですぞ?こんな事が許されるとでも?」

シンはヨン議員、更には全議員を見渡し、はっきりとした口調で言った。
「よく資料をご覧下さい。これは妃宮からの婚姻解消の申立書です。私から離婚を言い渡したのではなく、妃宮から言い渡されたもの。」
「・・・・・・」
「妃宮は私との離婚を望んでいます。理由を知りたいのなら直接本人あるいは最高長老にお尋ねいただきたい。私は妃宮との婚姻解消に異論はありません。この場の皆さんの承認をもらえば良い事。」

もう一人の議員が挙手して立ちあがった。
「チョン議員どうぞ。」
「殿下、巷で噂になっている不仲説は本当の事なのですか。皇太孫が御出来にならない妃宮様を見限ったとか・・・」

「ぶ・・無礼な!!口を慎みなさい!!」
コン内官が厳しい口調で制した。

シンはぐっとチョン議員を見据えるとそれ以上の発言を許さないという威圧感たっぷりの口調で答えた。
「噂は噂でしかない。真実は離婚の申し立てをした妃宮から直接聞けばいい。下手な詮索は止めて欲しい。」
「は・・・はい。申し訳ございません。殿下。」


「では、今回の懸案事項一の皇太子、皇太子妃の離婚について承認される方は御起立願います。」

意外にも議員達は全員一斉に立ちあがった。

【皇太子が離婚すれば次の妃の選出が急がれる。皇太子妃の席をいつまでも空けておくことは出来ないのだ。もしかしたら我が家から妃を輩出できるかもしれない。】

一斉に立ちあがった議員達を見てシンは冷たく哂った。
自分達の家名を守るために生き、あわよくば皇太子妃を自分の身内からと思っている計算高い王族の議員達。
フフンと笑うとシンはゆっくり立ち上がった。

「皆さんの承認を真摯に受け止めます。」

「これにて、皇太子イ・シンと皇太子妃ミン・ヒョリンの離婚が承認されました。」
議長のイ長老はシンを見て微笑むと全員を見渡し宣言した。


「次に懸案事項二に移ります。資料を・・・・・」

資料の表紙を議員達が捲った瞬間、議会内に重い空気が立ち込めた。
妃を我が家からと思っていた議員ほどその狼狽ぶりが手に取る様に見え、シンは思わずほくそ笑んだ。
「ナ議員、どうぞ。」
厳しい表情をしたナ議員は資料を叩きながら議長に向かって大声を挙げた。

「議長!この事項認めません。しきたりに反している。殿下、殿下はここの誰よりもしきたりを重んじなければならない身。いったいどういうおつもりですか!!」
「パク議員、どうぞ。」
「こんな・・・こんな事を認めたら宮の統率が出来なくなりますぞ。何事も階級や序列が大事の宮。身分の低い平民など許せるものではない!!」
「カン議員、どうぞ。」
「平民など誰が崇めたてまつるでしょうか。妃は王族出と決まっているのだから、それに従う事こそ未来の宮を守ることなのです。」

議員達は興奮し、勝手に叫んだ。議長の指名など聞き入れるどころではない。

「ばかばかしい。こんな話し合いなど意味のない事。」
「そうだ、もう退席するぞ。」
「全く、殿下もまだまだお若い。なにを血迷ったのか。」

議員達は席を立ち会議場の扉に向かおうとした。


「待ちなさい!今、ここを退席する者は、亡き聖祖陛下を侮辱したものとしてその罪を問う事になるがそれでも宜しいか!!」



イ長老の厳しい言葉が会議場に響いた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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