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破片・・・1

「殿下、禁中の諸法度を変えるには王族と貴族院、国民から選出された議員で構成される王室会議を通さねばなりません。王族同士の婚姻に関しましても私的な部分が多いのでございますが、やはり会議を通さねば・・・殿下の婚姻は国婚に値しますので尚更でございます。」
コン内官は資料をひろげながら答えていた。

「今までに離婚したという前例はございません。その昔、正妃を廃妃にしたという文献は残っておりますが、今とは全く違った環境でございます。ご側室が何人もいた時代・・・・離婚は不可能ではないかと・・・・妃宮様に何の落ち度もないとするならば尚更でございます。」
シンは黙ってコン内官の話を聞いていた。

「コン内官。たとえば離婚できたとして、両班出の娘と皇子が再び婚姻を結ぶのは可能か?」

コン内官は暫く考えていた。
「殿下・・・・身分制度は現在ありません。それは戦後、亡き先代の皇帝陛下がお定めになったこと。実は皆平等なのです。しかしながらその風習が当然のごとく残っているのが『宮』です。『宮』自体の意識を変える他ないと存じます。」
「では・・・・婚姻はできるのだな?」
「それは・・・・・・申し訳ございません。いくら身分制度がないといえ王室の正妃は、古より王族出身から排出してきた経緯がございます。これは、正妃の後ろ盾に『宮』自体が頼ってきたということもございます。王族会の力は強い。経済界のトップはすべて王族出身者に占められている現状を考慮するならば、殿下お一人の力で到底太刀打ちはできないでしょう・・・」

「利害にまみれた王族会・・・か!!」
シンはぎゅっと拳を握りしめた。

「殿下、最近ミングループがまたしても巨大なプロジェクトを掲げているようで、用地買収にかなりのお金をばらまいているとの話を小耳に挟みました。チェギョン様のご実家もミングループに取られてしまわれましたが、今回はたくさんの古い家屋が取り壊されビルが建てられるようです。やはり皇太子妃の父親という立場を利用し、住み慣れた土地に執着する方々を無理やり立ち退かせているとか。」
「・・・・・・」
「それから、今度行われる王族会の最高長老の選挙でございますが、新たに立候補する者もなく、今まで通りミン・ファン氏がなられる由。妃宮様のおじい様が最高長老であるかぎり、殿下が離婚を申し出ても、跳ね返されてしまうでしょう。」
「・・・・・・」
「殿下は例えどんな形であれ、一度はこの婚姻を承諾されて、妃宮様と結婚された。皇帝陛下、皇后陛下のご命令と対外的事情で拒否出来なかったことはこのコンも充分承知しております。ましてや、ご婚約はチェギョン様と出逢われる前の事・・・」

「万事休すか・・・・・・折角チェギョンを見つけたというのに、このザマだ。」

シンは窓辺に寄って、鉛色の空を見上げた。
「もうすぐ雪が降り始めるな・・・・・イギリスでも雪は降るのだろうか・・・・・コン内官。もし・・・・もし私が皇太子を降りたら妃宮はついてくるだろうか。」
「殿下?」
「あの女の事だ。ただの皇子の妻では収まりがつくまい。」
シンは静かに口角をあげると小さく笑った。











「ソ尚宮、今すぐに医務官長とその女医をここへ呼んでまいれ!」
「はい、皇后陛下。」


中殿では、皇后、ソ尚宮、医務官長、女医以外は人払いがなされ、厳しい表情の皇后に医務官長は思わず下を向いた。
「医務官長、間違いないのですか?妃宮が懐妊したというのは!」
「・・・・・はい、お・・おめでとうございます。皇后陛下。間違いございません。」

晴れの皇太孫のご懐妊だというのに、皇后陛下はなぜにこうも難しいお顔をなさっておられるのだろう・・・・

医務官長は女医を見た。彼女も皇后の態度になぜか戸惑っている様子だった。
「さて、医務官長。短刀直入に訊く。妃宮が懐妊した時期はわかるか?」
「畏れながら・・・・10月初旬かと・・・・・・・あっ!!」
「どうしたのだ?」
皇后はじっと医務官長を見据えた。
「その・・・・殿下のヨーロッパご訪問はいつでございましたでしょうか・・・・・」
喜んでばかりいた医務官長はあまりの事の重大さにやっと気付き口ごもった。
「医務官長、この事誰にも言うでないぞ。月のものが止まれば誰でも気付くこと。妃宮も既に気付いているはず・・・・・・しかし、宮にいる以上滅多な事は出来まい。」
「・・・・め・・・滅多な事とは?皇后陛下・・・」
医務官長は恐る恐る皇后の顔を見た。
「もうよい。下がれ。」




最近のヒョリンは外命婦との交流が盛んで、内・外命婦を統率する皇后を差し置いていろいろな会合に精力的に出席していた。
勿論全ては王族会の祖父の影響あっての事で、皇后としては鼻もちならない行為でもあった。
自分が妃宮よりも軽んじられているような気にさえなってくる。
ヒョリンはヒョリンでシンには愛情を見いだせないとするならば自分の立場をより強固なものにしようとあらゆる手段を使って、外命婦を抱きこもうとしていた。

「宮の為を思って薦めた婚姻ではあったが・・・・・妃宮はこの宮の女主人になるつもりであろうか・・・」

王族会の最高長老の孫娘という妃を迎え、新しい宮の未来を若い妃と分かち合えると愉しみにしてきた筈なのに、自分は隅に追いやられ全ては妃宮の思いのままになろうとしている。

そして、懐妊・・・・・

「ソ尚宮。妃宮を呼んで参れ。今すぐ!!」
「は、はい。皇后陛下。」


暫くして中殿にはヒョリンとチェ尚宮の姿があった。
「皇后陛下、どういった御用件でしょうか?」
頭も下げず、椅子に座った自分を見下ろすヒョリンの高圧的な態度に皇后は思わず怒りが先走りそうになった。


「妃宮。最近はまた随分と外出が多くてらっしゃいます事。先日も皇太子が帰国したというのに
外命婦のお茶会に出席なさったとか・・・・」
「ああ、あれは殿下が空港で先に帰る様にとおっしゃったので・・・時間もありましたし、最初から参加する予定でしたので出席しただけですわ。」
ヒョリンは、気遅れもせず皇后に言い返した。
「妃宮・・・・・いくら皇太子がそう言ったとしてもその通りにする事はないであろう?チェ尚宮、お前が付いていながら何たること!」
「申し訳ございません。皇后様。」
チェ尚宮は俯いた。
「あら、皇后様。チェ尚宮は私がお茶会に出席した事を知りませんわ。殿下に呼ばれて空港に残ったのですから・・・・」
「残った?妃宮の傍に仕えず?」
皇后はチェ尚宮の顔を見つめた。
「なにか、重要な話が殿下からあったようですわ。殿下はこの私には何も・・・私の事お嫌いみたいですから。」
皇太子を馬鹿にしたような態度をとるヒョリンをじっと皇后は見据えた。
「ソ尚宮、チェ尚宮、席を外しなさい。それから誰も此処へは近づけないように!!」
皇后の強い口調にチェ尚宮は何事か、と皇后の顔を見つめたが、ソ尚宮に促されて部屋を出た。

「さて、妃宮。そのような話をする為にそなたをここへ呼んだのではない。」
ヒョリンは厳しい表情をする皇后に思わず半歩下がった。

「短刀直入に聞く。皇太子ではないな?」
「はい?皇后様、一体なんの・・」
「そのお腹の子の事だ!」
「えっ!?・・・・」
「父親は誰なのだ!」
「・・・・・」
ヒョリンの指先が細かく震えだす。

「はっきりと申せ!!」
「・・・・殿下のお子です。」

ヒョリンは小さな震える声で答えた。

「真実か!?」
「殿下のお子です!!」


ヒョリンは叫んだ。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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