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記憶・・・1

夕食後、パク女史が付けたテレビを何とはなく見ていたチェギョンは、ニュース番組になったとたん思わずソファから身を乗り出した。肘掛を掴んだ手を小刻みに震わせ、穴があくほどテレビを見つめた。


「どうやら、殿下がお着きになったようです。暫くお見受けしませんでしたが、また一段と素敵になられておいでですねぇ・・・・・」
パク女史はチェギョンの顔をチラッと見ながら言った。

「チェギョン様は殿下とお会いになった事ございますか?」
「・・・・・・」

「まあ、ホテルではなく宮殿にお泊りになるようですね。」
「・・・・・・」

「明日から、ソンジュン様のお父様は大変ですわね。殿下のご接待をしなければなりませんから・・・・・2週間のご滞在・・・・・・是非どこかでお目見えしたいですわ。」

「・・・・パクお姉さん、先に休みますね。」
チェギョンは重い足取りで寝室に向かおうとした。



「チェギョン様!」


パク女史のいつもと違った声色がチェギョンの足を止めた。

「そこへお座り下さい。殿下がイギリスにおいでになった今、本当の事をお聞かせください。」
チェギョンは驚いて振り返った。

「本・・当・・・・・の事・・・・」

パクは突っ立ったままのチェギョンの肩を抱き、そっとソファに座らせた。

「以前からなんとなく感じてはいました。チェギョン様と殿下との事。何があったのかお話し下さい。たとえどんな事があろうと私はチェギョン様にお味方致します。」

「・・・・お姉さん。」








チェギョンは今までの事を少しずつポツリポツリと語り始めた。パク女史はチェギョンの話にいつしかその頬を涙で濡らしていた。

「チェギョン様・・・さぞやお辛かったでしょう・・・・殿下は・・・殿下はすでにヒョリン様とご結婚されています。ご自分の意志であったのか・・・・それとも・・・」

「わかりません・・・・出国する前に一度だけ会いたかった・・・・・シン君はヒョリンさんと結婚した・・・・・それがシン君の意志なら私は・・・・私は諦めなければならない。」

「・・・・・」

「まだ・・・愛してる。ずっとずっと愛している。どうしようもないって解っていても、心があの時のまま・・・・・でも、もう駄目。」

泣きだすチェギョンの背中を優しく叩いてパク女史は言った。

「今回の殿下のご訪問は、神様の思し召しです。会うチャンスはチェギョン様、舞踏会しかありません。もしや、遠くから眺めるだけで諦めようなんて思ってはいませんか?」

「・・・・・パクお姉さん。」

「駄目ですよ。私も一生懸命考えます。チェギョン様は望みを捨てないでください。」

「・・・でも、シン君は結婚・・」

「そんなもの関係ありません。いいですか?殿下はチェギョン様のことをまだ愛しておいでのはず・・・絶対に・・・・・膝を折ってまであなた様とのこと妃宮様に許してもらおうとしたと、今おっしゃったではないですか。もっと自信をお持ちください!」

パク女史は柔らかに笑うとチェギョンの手を取った。

「舞踏会では、あなた様の踊りが他の誰よりも映える筈です。今までの練習の成果をお見せください。きっと殿下のお目に留まります!」

「・・・・・・・・怖いの。会うことさえ、声を聞くことさえ怖い・・・・」

「チェギョン様・・・・・」

「もし、シン君が気づいて近くにきたら・・・・逃げ出すかもしれない・・・」

「会いたいのでしょう?チェギョン様!!ご自分の本当の心は何を求めていらっしゃるのですか!!殿下でございましょう!?」

「・・・・・・」

「お心のまま行動するのです。いいですか。チャンスは一度だけ、舞踏会の夜だけです。例えどんなことがあろうと、絶対悔いを残してはいけません。いいですね。ご決心ください。」



心のままに、
パクお姉さん、ありがとう。


でも、
私は、
私はもう・・・・・遅いの。
もうさよなら・・・しなくちゃいけないの。



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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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