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贖罪・・・1

「ここって・・・」

チェギョンはシンが押し開いた扉からその建物の中に入ると思わず仰ぎ見た。
アーチ型の高い天井、数々のステンドグラス、木の香りがする長椅子、そして正面に祭壇。

「セントスウォン聖堂・・・・」

シンはポツリと言った。
「ここ・・・水原だったのね。ソウルからは近い・・・・」
「チェギョン、お前の気持ちも聞かずに無理にここへ連れて来てしまったけれど・・・・」
シンはチェギョンの顔を覗く。
「・・・・ううん、私シン君と一緒にいたかった。ユル君がもし来たとしても、婚約のお話は断るつもりだったの。たぶんユル君は傷つくと思うわ。でも、その事をどうやって伝えたらいいか、ずっと悩んでいたの。ユル君には出来れば会いたくなかった。」

「チェギョン・・・」

「私ね、シン君。最初貴方の事すごく嫌いだったのよ・・・・でも、なんか懐かしくもあった。変ね。初対面でそんな風に想うの・・・・」

シンは黙ってチェギョンの手を引くと聖堂の左側にあるドアを開いた。
「チェギョン、ここでこのドレスに着替えて欲しい。インに急いで頼んだものだけれどサイズは合っていると思うから。」

「えっ?」

チェギョンは箱を開け中を覗いて驚いた。
真っ白なロングドレス。ウェディングドレスではないが、マーメイドラインのそのドレスは大きく開いた胸元に真珠が散りばめられており、上品な総レースで作られていた。
「インもなかなか趣味がいいな・・・・じゃ・・・チェギョン。」
シンは笑うとドアを閉めた。





チェギョンはそのドレスを手に取って呆然とした。
「これって・・・シン君と婚約式?結婚式?をやるってことなの?まだ、好きだってわかったばかりなのに、お付き合いだってまだしていないのに。どうしよう・・・・・」
チェギョンはドレスの胸元の真珠を見つめた。

「シン・チェギョン、アンタはどうするつもり?仮にも皇太子よ・・・・こんな事していいの?彼には婚約者もいるし、身分だって・・・・」

チェギョンは椅子に座りこんだ。

シン君が好き。
その気持ちに変わりはない。
でも、パパや、ママに黙ってここまで来てしまった。
きっとユル君に聞いて心配しているはず。

でも・・・・
でもやっぱりシン君の事・・・・
結婚式っていう事じゃないかもしれない。誰かに私達の事認めてもらいたかった・・・ってシン君言っていた。


チェギョンは垂らしていた髪をかきあげ、ドレスに手を通した。
「えっ・・・・ぴったり。なんでシン君サイズ解ったんだろう・・・・」
ドレッサーの上には数々の化粧品が用意されていた。
ここは花嫁の控室に使われているんだろう。
チェギョンは頬にほんのり紅をさして、唇にルージュをひいた。
立ち上がるとヒールを履き鏡の前に立つ。

「わーこのドレスすごく素敵ね。でももうちょっと痩せないとだめかなぁ・・・・ライン丸見えだもん。」


『ウマレカワッテモ アナタノソバニ・・・・』


「えっ?誰?」
チェギョンは誰かが耳元で囁いたような気がした。


≪ジーッジーッジーッ・・・・・・・≫


チェギョンの携帯のバイブレーションがいきなりテーブルの上で鳴り響いた。
思わず手に取るとディスプレイにたくさんの着信履歴がある。
全てユルからの着信。

「鞄に入れて気がつかなかった・・・・・・」

チェギョンは出るか出ないか迷ったが、ナムギルやスンレの心配そうな顔が浮かび、恐る恐る着信ボタンを押した。

「もしも・・・・・」
(チェギョン!!!いったいどこにいるんだ!!!何度もかけたんだ!!君は僕に死ねって言うんだな!!)


「ユル君?」
(君は僕を置いていったいどこに行ったんだ?30分後には行くって言っただろう?待っているって・・・・・僕は・・・・僕は・・・・・・)
「ユル君・・・・・」
(シンと一緒だな?)
「えっ?」
(そうだな?チェギョン。)
「・・・・・・」
(今どこだ、教えてくれ・・・)
「・・・・・・」
(チェギョン!僕は君が欲しい。大好きだ、愛してる、婚約指輪、君に渡そうと思って・・・・・)
「ユル君・・・」
(それなの・・・に・・・・どうし・・・て・・君・・・・は・・・・・)
ユルは泣いていた。
チェギョンは心に棘が刺さったようにシクシク痛んできた。
「ユル君・・・泣かないで。私、シン君の事・・・」
(チェギョン・・・・もし、僕の・・・そば・・か・・ら去って・・・いく・・・な・・ら・・もう・・・僕は・・・生きて・・・・いけ・・な・・・・い。)
「ユル君、ちょっとまって!」
(君の居所・・が・・・知りたい・・・・だけ・だった・んだ、もう・・二人の・・・・邪魔は・・・しな・・い。・・・・・僕は・・・も・・う・・・・サヨ・・ナ・・・ラ・・・・)
「まって、ユル君。死ぬなんて言わないで!セントスウォン聖堂にいるわ。水原の・・・」
そこでユルからの電話は切れた。


ユル君・・・泣いていた。
私、ユル君の事、傷つけた。
大事なお友達だった。
大事なお兄さんだった。
大事な・・・・


チェギョンは鏡を見つめていた。
その顔は涙でゆがんで見えた。



「ごめんね。ユル君・・・・私・・・・私、シン君を愛してる・・・・」
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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