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接吻・・・1

シンが東宮殿の車寄せに着いたのは、空が漸く白み始めた頃だった。
しーんとした東宮殿の扉をそっと開けるとパビリオンにはコン内官が静かに佇んでいた。

「殿下・・・お帰りなさいませ。」

「コン内官、お前帰らなかったのか?」
シンは小さく呟いた。

「殿下、せめてお電話だけでも出てくださいませ。心配しておりました。」
シンはポケットの携帯電話を握りしめた。

「わるかった・・・・コン内官。」

いつになく素直なシンにコン内官はにっこり笑って言った。

「いいえ、こうして無事にお帰りになり安心いたしました。それと、このファイルでございますが、昨夕陛下より殿下にお見せするようにと預かって参りました。本日はご公務も大学もお休みでございます。このファイルにどうぞお目をお通しください。それではこれにて失礼させていただきます。」

コン内官はそういうと東宮殿をあとにした。




シンは手渡されたファイルを持って寝室のベットに座りその黒い表紙を開いた。

「なんだ!これは?」

そのファイルは写真付きの女性の身上書、健康診断書、成績表などありとあらゆる個人情報が記され、あろう事か五代前までの系譜まで載せてあった。


イ・ナヨン。王族、父は元老院議長、王立学校高等部2年・・・・
コ・ジス。王族、父はコ江南国際銀行頭取、王立学校高等部3年・・・・・
ミン・ヒョリン・・・
シンのファイルを捲る手がそこで止まった。

ミン・ヒョリン。王族、祖父は王族会最高長老、父はミングループ総帥、王立学校大学部1年・・・

「はは・・・ヒョリンがお妃候補に入っていたのか、面白い・・・・・」

投げやりにシンは笑うと、にこやかに笑っているヒョリンの写真を指で弾いてファイルを閉じた。
ポケットから携帯を出し、ヒョリンが空港で自分に送ったメールを開く。
返信ボタンを押してメールを打つと携帯を閉じ、ベットの上に投げ捨てた。


「眠いな・・・・」


シンは押し寄せる睡魔と戦わずこのまま身を委ねようと目を閉じた。











『太子様・・・・』
自分を見上げる真っ直ぐな瞳。
花びらのようなその唇に思わず指を当てがった。

『約束だ、次に会うまで誰にも・・・・・』
そう言うと太子はチェギョンの顎を持ち上げ背を屈めると片手で彼女の腰を引き寄せ優しく口付けした。

『伽羅の香りだな・・・・いい匂いだ。』
そのまま抱きしめると韓服の襟を少し開いて彼女の首筋に自分の唇を当てがい、そこに花びらのような桃色の跡が拡がるのを確かめてからにっこり微笑んで彼女を離した。

チェギョンは何がどうなったのか分からず、顔を真っ赤に蒸気させて太子の胸のあたりをボーッと見つめていた。
太子はそんなチェギョンの髪に口づけして馬に跨ると『約束・・・』と言いながら手を振って王宮へ戻って行った。


『な・・・なに?今の・・いったい太子様は何したの?』


チェギョンは樫の木の並木道を駆け抜けると急いで自分の部屋がある奥まった建物の中に飛び込んだ。
扉を閉めて急いで鍵をかける。

『お嬢様、チェギョンお嬢様!お帰りになられたなら声をかけてくださいまし。御脚を洗うのにお湯をお持ちしませんと!!』
下女が扉をブツブツ言いながら叩いた。

『もう、さがっていいわよ!自分でやるから・・・・』


チェギョンは鏡を持ち出し太子に口づけされた首筋を見た。


【ドキン!】


白い首筋に桃色の花びらが一枚印されている。

『太子様・・・・いったいどういうおつもりなの?遊び・・・・本気・・・そんな訳ないわよね。太子様に正妃がまだいらっしゃらなくたって正妃になるのは王族の方。私は両班、ただの貴族だもの・・・有り得ない・・・』



チェギョンは襟を整えるとそっと鏡を置いた。
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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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