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ハジメテノコイ その1



雨が激しく降っていた。
僕の腕の中で彼女は静かに頭を振った。
「まだ・・・まだ大丈夫?」
「ああ、まだここにいるよ。」
雨脚が強まり足元に跳ね返った雨しぶきが容赦なく彼女のスカートを濡らす。
「冷たい・・・・」
彼女はぽつりと呟いた。
小さく震えた彼女の肩が愛おしく思わず抱きしめた。
こんなにも好きなのに、こんなにも愛しているのに君は僕を置いていくのか?
やっと君の心を掴むことが出来たのに、どうして・・・どうしてなんだ。
貴方のその広い胸に抱かれて私は幸せだった。
だけど、ただ愛しているだけじゃ駄目なのね。貴方にはすべきことが多すぎる。
私はそんな貴方の足枷にはなってはいけない。大好きだから、愛しているから、別れもある。

傘の中で二人は見つめあった。

もう逢ってくれないのか。
もう二度と逢えない。

「これでおしまいね・・・・さようなら、殿下。」
「・・・・」


≪カーット!!≫≫≫


「ちょっと君達もう少し感情を込めてやってくれないか?こう見つめる目ももっと情熱的に。」
監督のギョンがメガホンを片手にイライラしながら二人を指差す。

「出来るもんか・・・・・・こんな女となんて!」
「こ・・・こんな女ですってぇええ!!」
二人は睨みあいながらそれぞれの椅子に向った。

「おい、なんでお前なんだ?もっと他にカワイイ子はたくさんいるっていうのに!」
「そっちこそ何よ!なにも殿下が出なくたっていいじゃない。役そのものなんてつまんないわ!」
「フン!」
「フン!!」

「やれやれ・・・・なんでそうなるんだ?」
ギョンは両手を挙げながら首を振った。


「シンは映画科では断トツのイケメンだし、皇太子だから文句なしの配役だ。
それに、シンがいるからこそ宮の好意でこうして景福宮の中で撮影出来るんだ。
チェギョン、君達美術科はいったいどうやって配役を決めたんだ?」
「そりゃ、くじ引きに決まっているじゃない。」
「くじ引きだって?!」
シンが叫んだ。
「この役を射止めたらクラス全員から1カ月間のもてなしを受けられるっていう条件にしたのよ!」
「はぁ?」
「私はね、学校帰りの1カ月の屋台のも・て・な・し。」

ギョンは呆れたようにチェギョンを見ると気の毒そうにシンを見た。

「おい、シン。悲しみの妃は1カ月の屋台のおごりの為にくじ引きの激戦を勝ち抜いてここへやって来たそうだ。まぁ、頑張れ・・・・今日はこの辺にしておくからな。文化祭はもうあと2週間しかないんだぞ。いい加減に気合を入れてくれよな!こっちは編集もあるんだから仲良くやってくれよ・・・・」

シンとチェギョンを置いたままギョン達はがっくりと肩を落としながら機材を運んで行った。


「おい、明朗病!お前がヘマするからだ。」
「なによ、王子病!あなたが高飛車だからじゃない。」

「何だって?それが皇太子である僕に言う言葉か?!」
「フ・・フン!偉そうに・・・・たまたま宮家に生まれてきたってだけじゃない。あなたは何か尊い事でもしたっていうの?!」

「そ・・・それは・・・・・・」
「ほーら御覧なさい。一人では何もできない王子様、明日はヘマしないようにね~」

「な・・・なんだとぉおお!」
「あっはっはっ・・・・」

笑い転げながらシンの前を横切って、チェギョンは楽しそうに建春門をくぐっていった。



「くそっ・・・・頭にくる。見ていろ~明日はラブシーンがある。ビックリさせてやるからな!」

シンはチェギョンの去って行った門の方を睨んだ。





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Author:hana
韓国ドラマ【宮】をベースにした妄想話を綴っています。王道ありパラレルあり、風の吹くまま気の向くまま…

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